Z1系のシリンダーヘッド上部に取り付くトップアイドラーです。
これについては、フレーム設計時にまずは高さに拘りました。
Z1系のヘッドカバーを取り外してみた事がある人であればわかるのですが、キャブレターを外さずに後方では無くへッドカバーを横に抜こうとした際に、フレームとトップアイドラーフレームが非常に近く、アイドラーの頭に引っかかってなかなか抜けない思いをされた人は多い筈です。
カワサキの当時の人たちも整備時にカバーを横に抜いて外れる様にと、車体のフレームパイプとアイドラー側の間隔や形状を車体とエンジンの設計者間でmm単位でせめぎ合いながら設計したとの逸話が残っている程です。
もちろんその恩恵で上下左右に動かしながら抜き取る事は出来るのですが、あともう僅か1mmでもトップアイドラーが低ければと、何百ではきかない回数ヘッドカバーを脱着した者としてはどうしてもその思いを実現したく思っていました。
そこでフレームの曲げには専用に製作した専用型と治具を使い、純正品よりも板金時の精度を上げる事を前提に寸法を決定しました。
この為、トップに開けられた穴にアイドラーの歯先端が完全に入っています。
センター前後でも、刃先がフレーム上部に接触せんばかりに近くなっているのがわかります。
ちなみに穴前後を丸くしてあるのは刃先の逃げのみでなく、振動によるクラック等を防止する為です。
結果としてHPトップアイドラーは、Z1系の純正との比較で全高は1.8~1.9mm低くなりました。
もちろん、アイドラーギアの軸位置は純正と同じです。
たった2mm弱ですが、これでどれだけ作業性が上がるか、経験者のユーザーにはお分かりいただけるかと思います。
参考迄に、Z1000A1以降のカワサキ純正アイドラーもトップに穴は開いていますが、実は結構余裕のあるクリアランスになっている事がわかります。
写真のものはギア歯先端からのクリアランスが2mm以上ありますので、穴が無くともフレームに接触はしません。
量産車の為に大量生産する場合のコストとフレーム個体差を考慮すれば、この位離さなければならなかったのかも知れません。