Z系を問わず、エンジンを整備する場合には液体ガスケットと呼ばれるシール材を使う場所は多いです。
例えばクランケースの合わせ面や、構造上ガスケットを入れない部分であったり、どうしても段差の出来る部分やガスケットのみでは漏れの発生し易い場所等です。
ちなみに、Z系の一般ユーザーさんが非常に目にする部分では、ジェネレーターのコード取り出しグロメットの組み込み部分では無いかと思います。
この場所はZ系J系でも特にオイル漏れを発生し易い場所で、弊社でも車両製作や整備時にはこのグロメット外周とカバーの当たる部分には液体ガスケットを塗布し、乾燥してから組み込みする様にしています。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=21488
このカバーはオイル漏れ修理で依頼されたものです。
上記リンクと同様の方法で液体ガスケットを塗布して組み込みして、丸2日乾燥させたものです。
ちなみに、液体ガスケットは必要な量のみとしていますが、それでも内側にはみ出した部分はカットして除去してしまいます。
正直はみ出した部分はオイルリークを止める事は出来ませんし、オイルに含まれるブローバイガスによるガソリン成分でガスケットが軟化すると、エンジン内部に脱落してしまいます。多少落ちたところでそれがすぐにエンジンを壊すレベルの悪さをするわけでは無いのですが、オイルポンプのストレーナーネットに張り付いているのを見るのもあまり気持ちの良いものではありませんので。
さて、この部分を整備するのにオイル漏れを嫌ってか、もしくはオイル漏れが始まっているものを横から大量の液体ガスケットを押し込んで止めようとしたと思われるものをたまに見る事はあります。
ただ、液体ガスケットは塗布面同士のごく薄い間にあってこそ性能を発揮するもので、上から盛っても効果はあまり期待は出来ません。
基本的に塗るのは適量に留めるべきで、必要以上に盛り付けても次回整備時の清掃が面倒になるだけです。
ちなみに、これは別の個体のZ1000Jのグロメット部分ですが、前回の整備で塗られていたのは最小限。
グロメットとカバーの間の液体ガスケットはごく薄い膜状態でしたが、オイル漏れはしていませんでした。
これは当方の経験からになりますが、実際に整備やオーバーホールの為にエンジンを分解した際、以前のどなたかの作業で適正量のみの液体ガスケットを使われているものは、他の部分も含めて良い仕事してるなと感心させられるものが多いですね。