こちらはZ系車両に使われるアウターシム。
最後期のGPz1100,Z1100Rや、ある程度以上のハイカムを使ったりバルブ周りの軽量化を図ってインナーシム化した様な車両を除けば、実際に走っている車両の対多数はこのアウターシムを使っている筈です。
さて、以前にバルブリフターで現在入手可能なものの表面処理について記事にしたことがあります。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=26056
その関係でもあるのですが、アウターシムの場合はどうなっているのかです。
バルブのカム山が擦れるのはシム表面になるのですが、一件割と平滑に見えるアウターシムを拡大してみます。
約50倍
約200倍
シム自体は非常に硬度のある熱処理が施されていますがその表面に加工時の切削研磨痕は残ってはおらず、全面に渡って非常に微細なディンプル状に仕上げられています。
この細かな窪みは、カム山がシムの表面を高圧力で滑ってもオイルを保持する役目を持ちます。摺動面のオイルの存在は摩耗や齧りの防止には何より効果がありますので、少なくともシムのカム当たり面側は必要以上に磨いたりするべきでは無いでしょう。
ドライ状態で極低負荷の場合は鏡面研磨は効果がありますが、オイル潤滑状態での高負荷時では接触部分で金属同士が接触する部分はこの様にオイルが保持される状態の方がフリクション面でも耐摩耗性の部分でも有利です。
又、メンテナンス時に当たり面に傷があったり、長年の使用で表面が光沢仕上げ状態になってしまっているのであれば、クリアランスが正常であっても新品に交換しておくのもありかと思います。