丁度先月、Z1系スタッドボルトの強度についての記事を書いたかと思います。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=27586
待ちかねたかの様に折れたという車両の修理です。
さて、このエンジンは以前に弊社でエンジンを製作したものですので、その際にスタッドボルトも交換してあります。
その際には、ねじ山部も清掃の上で埋め込みの際に焼き付き防止のグリスを塗布して適正な力で埋め込みしてある筈ですので、何とかエキストラクターで抜けるかとチャレンジです。
まずは最初の細いドリルを入れるのに正確にセンターにポンチを入れます。
先月書きましたが、折れない様にと硬度の高いボルトにしたりすると、これ自体が滑ってしまったりします。又、硬度が高いイコール曲がらないだけなので細い場合は限界を超えた瞬間ポキッと折れます。
それが強化ボルトを作ったり使わない理由です。
細い下穴を隣のスタッドと並行に切った後、下穴に沿ってエキストラクターの入る穴迄拡大します。
その後エキストラクターを押し込んで左回りの抜く方向に回すと、やはりボルトは固着しておらず動かす事が出来ました。
ここでもやはり硬すぎない純正のスタッドゆえにエキストラクターの歯が食い込んでくれています。
硬すぎると穴の中を滑るだけで、回ってくれません。
運良く無事に抜き取る事が出来ました。
さて、今までにも何度か書きましたが、この様にうまく抜けるケースは通常の車両では滅多にありません。
工具の宣伝やネット上の整備記事で、折れたボルトの抜き方と言うとエキストラクターが結構出てきたりしますが、エキゾーストスタッドボルトは埋まっているネジ部分がヘッド側に張り付いたり固着してしまっているのが普通なので、エキストラクターを使って抜こうとしたりすると細く硬い刃の先端が折れて内部に残ったりするケースが多々あります。
ですので上の様に余程条件が良くて、ねじ部の張り付きが起きていない事が歴然としている場合以外は絶対に使われない事をお勧めします。
又、一般のユーザーさんにハンドドリルで6㎜ボルトのセンターに正確に穴を開けるというのはあまりにもハードルが高い為、折れ込んだスタッドボルトはプロにお任せする事をお勧めします。
新品のスタッドボルトの埋め込みネジ側には、再度齧り防止のグリスを塗布してやります。
これで万が一にも再度折損する様な事があっても出来れば今回同様に抜き取り出来ればと思いますので。