兼ねてよりテスト中である事を紹介しておりました、J/R系のエンジン用NBRヘッドカバーガスケット。
仕様も確定し量産品も仕上がりましたので、正式販売開始となりました。
http://pamswebshop.my-store.jp/shopdetail/000000000222/ct45/page1/recommend/
従来よりクランクケース周りに使用する為の発泡NBRゴムコーティングを施したガスケットはラインナップにありましたが、シリンダーヘッドやそのカバー周囲に使用するとなると、耐熱性やシール面の熱膨張による条件が段違いな程に高くなる為、名称が同じNBRでも大きく異なるタイプの素材を使用しています。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=26428
又、形状が複雑で断面の細いガスケットを製作するのに、専用の金型を使用しています。
この為、断面に生じ易いゴムのヒゲも無い断面仕上がりです。
ヘッドカバーの脱着はフレームの間を通す様な作業となりますので、その際に指を当てても切る様な事の無いスムーズな仕上がりを目指しました。
又、厚さについてですが、J系エンジンはヘッドカバー自体がカムチェーンのスライダーマウントを兼ねる構造の為、柔軟性のみを重視して必要以上の厚さを持たせてしまうとバルブタイミングはもちろんの事それ以外にも問題が発生する可能性もあります為、各種の厚さや仕上げのものを数種類ごとに複数枚を製作し、1万km近いテスト走行距離の中で数十回もカバーの開け閉めを繰り返しながら仕様を決めています。
厚さ選定に関する詳細記事は以下です。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=26444
結果として、組み込み後の厚さが純正と同じになる0.6mmとしました。
最終的には、ガスケットの当たり面にビード形状を作る様に金型を工夫し、ガスケットのコア材にはスプリング効果を出せる様にスチールプレートを使用しました。
これによって発泡NBR材が柔軟に当たり面に密着しながら、ビード部分によるシールの為の圧着効果を高めてオイルリークを防止します。
又、表面のNBR素材は上記の様に特に耐熱耐久性の高いものを使用しています。
この為、カバーの脱着時にガスケットから剥離してエンジン側やカバー側に付着する事がありませんので清掃に要する時間がほぼ不要です。
この為シム調整やカムシャフトのバルブタイミング調整の為の頻繁なカバー脱着時の作業性にも非常に優れています。
カムカバーを取り外したところ、NBR素材の剥がれは発生していません。
こちらのガスケットは、表面が非常に柔軟なNBR層のコーティングとなっていますので、当たり面に付いている過去の整備による微細なスクラッチ程度では液体ガスケットの塗布は不要です。
カムプラグのエッジ部分に段差や窪みがある場合にのみ、その部分への僅か爪先程度に液体ガスケットの塗布を行ってください。写真は市販のビレット品ですが、純正のカムプラグも同様です。