クラッチのフリクションプレートを交換されたり整備を行った場合、クラッチレリーズを調整する必要があります。
※レリーズの調整時には、クラッチワイヤーのタイコ部分がレバーから抜けている状態か、クラッチワイヤーのセンター部分のナットやレバー部分のアジャスターを完全に締めてしまって完全にインナーワイヤーを緩め、レバーを動かしても全くテンションがかからない状態にしている必要があります。
調整はスプロケットカバーの蓋を開けて、ロックナットを緩めセンターのボルトを回転させて行いますが、大事なのはその際に回す方向です。
これはZ1のものですが、以降1980年のMk2迄は、センターのボルトを時計回りに締め込んで、重くなったところから1/3~1/2回転程反時計周りに戻して遊びを作り、そこでロックナットを締め込んで固定します。
1982年以降のJ系の場合はこれが逆になります。
センターのボルトを反時計回りに締め込んで、重くなったところから1/4回転時計回りに戻してロックナットを締め込んで固定します。
さて、少し迷い易いのはZ1000Jの1981年型の一部です。
最初期のJ系はそれ迄のMK2と同じレリーズを採用していたものがあり、これはZ系と同じ調整方法です。そしてJ系のマニュアルにはこの最初期の調整方法がメインとして記載されています。
マニュアルの目次で探すとこちらの方だけが出て来ますので、これを参考にした後期のJ系車両のオーナーさんから調整が出来ないというお話がありました。
ちなみに、1982年以降の版のJ系サービスマニュアルでは、かなり後半のところに追補項目として上の1982年以降の車両の調整方式が記載されています。
(目次には記載が無いので探しにくいかも知れません)
当時のZ1000J1のパーツリストを確認すると、確かに最初のもののみは両方のレリーズが記載されていました。
上はMk2迄のものと同タイプ、下の線で囲ってあるのはそれ以降のJ系のタイプです。
Z1000R1のパーツリストだと初期型のものは無くなっています。
こちらは通常J系で普通に多く見るタイプです。
レリーズの調整方式判断方法としては、調整用の蓋を開けた際に外周に回転の為のスプラインのあるレリーズ本体が見えるタイプの場合は1980年迄のZ1系と同じ、レリーズ本体が見えずにボルトの頭とロックナットしか見えないタイプの場合は1982年以降のZ1000J系と同じとなります。
又、Z1系でも純正ではなく社外品のクラッチレリーズキットではJ系と同じ調整方式となるものがありますので、注意が必要です。