まだ暑かった先日の事、
遠く淡路島より弊社に持ち込まれたGPz1100です。
車両製作と組み上げはモトデザイン オクムラにて行われ、弊社扱いのAT Power社製シャフトレススロットルボディとLINK ECU社製のECUで構成されたフルコンインジェクションシステムがインストールされた仕様となっています。
ECUはテールカウル内のアクセスが容易な場所にマウントされています。
手前左はLINK社の純正でCAN接続出来る空燃比測定ユニット。右側はイグニッションコイルへの通電電力をコントロールするイグナイターユニットで、これはHaltech社製のものを流用しています。
スロットルボディにはオクムラさんにてワンオフ製作されたアダプターを使用した、パワーフィルターアダプター仕様となっています。
又、インジェクターの固定と燃料のデリバリーを行うフューエルレールは日本国内で製作しています。これは、日本国内で入手し易いDENSO製のインジェクターを使用出来る様にする為です。
その他インジェクション化にあたり、必要となるリレーヒューズユニットや各部のセンサーの選択や手配を手伝わせていただきました。
それら配線を含む各部のセットアップや組付けが終わったとの事で、フルコンECUの設定と始動、そして走行マップのセッティングに入る事になります。
非常に綺麗に纏められたレイアウトに各部の配線。
ちなみに車体に沿って走るハーネス自体にカバーが被せられておらずコードが見えているのは、完成までの間に仕様の変更や追加配線等の修整を行う余地を持たせる為で、インジェクションセットアップの完了後に再度取り外してメッシュチューブでカバーされる予定との事でした。
実はキャブレター車のインジェクション化を行うにあたっては、こういったハードの組み込みが最も時間を要します。
実際のところインジェクション化迄進め様とする様なユーザーさんの車両は、その多くがカスタマイズされているものが多く、必要部品のレイアウトにしてもワンオフになる為に出来合いキットの装着と言うわけにいかない為です。
更にこの車両では燃料ポンプ周りはシート下にワンオフのサブタンクをマウントし、最近の車両用のインタンク用ポンプを使用して一体化されています。
弊社からもレイアウトをある程度自由に構築変更できる様な車両の場合はこの方法を提案させていただく事があります。
それなりに大きなサブタンクのスペースは必要にはなるものの、フューエルストレーナーにフューエルポンプ、プレッシャーレギュレーターにフィルタ―等のパーツが全て内部に収めることが出来る為、それらのレイアウトや配管に悩む事無くシンプルに纏める事が出来ます。
又、ピックアップローターやセンサーマウント等の部品は弊社で製作しているものです。
ローターは24-2と呼ばれる、現行車にても非常に多く採用されているタイプです。
クランク角度をより正確にECUが認識する事が出来ます。
Z系用インジェクション関連のパーツのお問い合わせとしてはこの部分が最も多く、米国やオーストラリア、遠く欧州からもよくご購入希望のメールが届きます。
又、この最近はザッパー系750やFX400,550系でのピックアップローター関連の問い合わせも増えています。
これらピックアップ部を含む各部のセンサーの初期設定データ書き込みを含め、まずはインジェクターやイグナイターの個別動作テストを行った後に始動作業に入ります。