まずは、始動前に初期設定。
このGPz1100に装備されているセンサーやデバイス類の殆どは弊社で使用しているものが装着されており、それらのセットには、予め作っておいた数値データをインストールします。
各部のセンサーが正常な数値を示すかを確認したら、燃料系や点火系を実際に稼働させてテストします。
ちなみにLINK ECUはテストモードを使い、エンジンを始動させる事無くインジェクターやイグナイターユニットにパルスを送って実際にインジェクターソレノイドを動かしたり、イグニッションプラグをスパークさせる事が出来ますので、それらが正常に動作するかを確認する事が出来ます。
実は新品のインジェクターでも割と保管中に張り付いて動かないものがあったりしますし、イグニッションコイルやプラグにしても100%正常と言うわけではありませんので、必要な作業です。
その他にもどこかしら異常が無いかは、始動前に点検する様にします。
センサーや各部のパーツ、機能に問題が無い事を確認した後にガソリンを入れて始動します。
あっけない程エンジンはスムーズに始動し、アイドリングを開始しました。
始動が完了し、アイドリング回転の燃調とスロットル開度の同調を行った後、今度は走行用の初期マップを作る為シャーシダイナモに載せます。
インジェクションチューニングの際のシャーシダイナモの使用方法として、リターダーという負荷ブレーキ機能を装備している機械であれば、ある程度の低回転から常用域の燃調や点火時期セッティングを行う事が出来ます。
昨今のフルコンECUには、走行中の各状態に対しての希望空燃比を打ち込んでおけば、それに対して合わせながらマップのセルを書き直してくれるオートチューン機能が備わっている為、これを使います。
オートチューンによるマッピング中です。
この動画ではシャーシダイナモ側に「今はエンジン回転が6,000rpm以上に上がらない様にブレーキをかけろ」と言う設定をしています。
そうすると、アクセルを開けて吸入する空気量が増大してもダイナモローラーにはブレーキ力が発生して回転は上がらず、この様に1セルずつ希望空燃比に合わせた噴射量に書き直してくれます。
オレンジ色に変わった部分がオートチューン機能で修正変更されたところです。
これを回転数毎に繰り返す事で、走行用のマップを作る事が出来ます。
このエンジンは既にならし等も済んでいるとの事ですので、全開域のセッティングも行います。
但し、スロットル全開にして回転が上がらない様にダイナモ側からブレーキをかけるのは、エンジン側に負荷がかかり過ぎてしまいます為、ここはおなじみのロールオンで何度かの全開測定を行い、空燃比ログを確認しながら各セルを修正します。
もちろん実際の走行条件をシャーシダイナモで全て再現できるわけでは無いのですが、リターダーによる負荷ブレーキをかけられるダイナモを使う事で、普通にストリートを流すにはそれ程不自由は無いマップを作る事が出来ます。
以降はダイナモではなく、実際に走行しながらマップ修整を繰り返していきます。
実走セッティングには、ECUが装備しているログ機能を駆使して様々な走行条件においての空燃比数値を確認出来ますので、従来のキャブレターや点火システムでは対応不可能な領域迄を煮詰めていく事が出来ます。
さて、こちらの車両は11月12日に淡路島にて開催される、Z祭りにて実車展示されるとの事です。
モトデザイン オクムラ さんにてZ系車両インジェクション化の相談にも乗っていただけるかと思います。