インジェクションシステム用の耐圧フューエルホースはもちろん、ブローバイ用のメッシュ入りホースや、キャブレター用でもそこそこ太さや厚さのある場合は写真の様なホースカッターを使うと実に綺麗に直角に切る事が出来ます。
耐圧用のメッシュが入っていてもこの通り潰さず輪切りに出来る程です。
断面も直角に綺麗なのがわかるでしょうか?
このサイズのホースカッターはそれ程の値段がするものではありませんので、そこそこ整備をするユーザーさんの場合は工具箱に入れておくとかなり重宝するかと思います。
ブローバイホースも断面が美しいと思える程で、今迄カッターナイフで綺麗に出来ず悩んでいたのが嘘の様だと感じるかと思います。
さて、話は変わってこの写真の物は新車時からオイルクーラーが装着される様になったZ1000RやZ1110GP,GPz1100用の純正オイルクーラーホースです。
補修の為に内部を見たくて切ってみたのですが、上の写真のホースカッターでは文字通り歯が立たず、まるで荒縄のごとく容易に切れない程丈夫なものでした。
止む無くもっと頑丈なカッターで切りましたが、内部の耐圧補強層の合成繊維メッシュが非常に分厚く、頑丈に作られているのがわかります。
比較として、上でカットしているインジェクション用のフューエルホースは内径はほぼ同じ、但し外皮膜を剥がして見ても補強層はもっと荒くて簡素です。
これでもそれなりの耐圧性はあるのですが、オイルクーラーホース用はそのごつさがレベル違いです。
推察するに、ガソリンはかなり冷却されてもそれ程粘度が変化するものではありませんが、エンジンオイルは冷間時には非常に粘度が高くなります。構造上はそれ程油圧に依存しないZ系のエンジンでも始動時や直後には暖機後とは比較にならない程の圧力が発生します。
その為、純正品としては安全と耐久性面を考慮して、油圧で稼働する機器用とも考えられるレベルの高圧用ホースとなっています。
実際、ホースカシメ部も一般的なホースバンドを使うよりもはるかに頑丈に見えるカシメ方法が取られています。
又、空冷エンジンのオイルは軽く100℃を超える場合も多々ありますので、耐熱性面でも当時としては最高品質のものが使われたのでしょう。
ちなみにガソリンはゴム類に対して攻撃性が高い為、フューエルホースは化学的にはそれに対応出来るレベルの物ですが、オイルクーラー用のホースは耐熱と機械強度的に違う次元の性能が求められます。
両者を同一に考えて互いに流用して使う事は本来出来ません。車種によっては走行中の破断やフィッティング部での抜け等(ホースバンドで力任せに締めるとむしろそこで破断が起きたりもします)大変危険な実例もありますので、ホース選択には仕様に注意が必要です。