フューエルインジェクションシステムのスロットルボディを取り外し、CRキャブレターを装着したZ1000Jです。
但し、キャブレターにはスロットル開度センサーを装着し、フルコンインジェクションシステムの制御に使う各種のセンサー類はそのまま作動させています。
この為、点火用のマップは3次元補正に温度や気圧、各種の走行条件に合わせて自由に設定が可能となっていますが、データ採りの為まずはASウオタニのverPAMSにインストールされているマップを補正制御等無しに書き込んで使用しています。
さて、CRキャブレター装着後の始動については常時行っているもので、これ位の排気量とチューニングのエンジンであれば経験上こんなものかなとデータのあるスローとメインのジェットにニードルを組み込んでやれば、始動して走り出す程度のセッティングはそれ程難しい事ではありません。
このあたりはむしろキャブレターの優秀なところで、構造上余程外したセッティングをしない限りそれなりに走れるシステムが構造として完成されているわけです。
弊社はフルコンインジェクションを手掛けはしますが、どれもこれもインジェクションの方が優れているとも考えてもおらず、キャブはキャブとしての利点も認めた上で更に良く出来ないかとも思います。
さて、スロージェットに関しては大幅に濃過ぎるものを装着すると、そこらを走るのみでも燃焼室に無駄なカーボンが堆積しますしプラグも燻ぶりがちになります為、自分は理想かなと思えるサイズからひと番手小さいものから試すのですが、やはり少し薄い様です。
フルコンのソフトで確認出来るA/Fセンサーからの空燃比数値を見る限りはそれ程薄くも無く、むしろインジェクションの場合であれば少々濃い方かとも思える程度なのですが、一般的にCRキャブレターの場合は若干濃い目にしなければアイドリングはともかくスタート時のトルクが細過ぎて扱いにくくなります。
この辺りはアイドリング時から燃料を拡散放射出来るインジェクションと、パイロットポートから湧き出したガスがポートを流れながら霧化するキャブとの効率の違いで、同じ程度のアイドリングの力強さと発進トルクを出そうとすると構造上若干濃くせざるを得ません。
さて、CRキャブレターのスロージェット交換にはフロートカバーを外す必要があります。
ちなみにZやJ系の場合、手慣れた人間が工具を色々と使えば写真の様にキャブを装着したままでも作業出来ないわけではありませんが、特にオイルクーラーが装着されている場合は面倒なのでキャブを外した方が正直早いです。キャブセッティングをするにもスロージェットはこの後のニードルやメインジェット程頻繁に交換するものではありませんし。
ちなみに、弊社のZ1000Jの場合はテスト車ゆえのデータ採りやメンテナンスでフューエルタンクを脱着する頻度が非常に高い為、フューエルラインにはワンタッチコネクタ―を使っています。
今回はキャブレター化により、従来の循環タイプのインジェクションシステムの様に自由落下で大量のガソリンを落とし続ける必要が無いので、シャットオフバルブタイプに変更しました。
ワンタッチでガソリンをほぼ漏らさずにホースを外せる便利なものですが、アフターマーケットで流通しているものには、挿し込み部分や内部バルブのOリングがガソリン非対応のものが様ですので、注意が必要です。