弊社のテスト車であるZ1000Jからフューエルインジェクション用のスロットルボディを取り外し、スロットル開度センサーを装着したCRキャブレターに換装を行ったと記事にて報告しました。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=28500
但し、点火システムを制御する為のフルコンはそのまま残し、各種のデータを収集する為のセンサー類は全て装着したままとしてあります。
これで何が出来るかと言えば、点火時期マップを車両個体に合わせて最適なものに煮詰めたり各種センサーにより補正制御も出来るのはもちろんですが、空燃比を含む走行中の各種データを多数データログとしてフルコンに記録し、走行後にPCを接続すれば多くの情報を数値化して読み出す事でセッティングに役立たせる事が出来ます、と言うよりログ機能の装備こそが最大のメリットです。
もちろん市販の空燃比測定ユニット製品にもある程度のデータログ機能を備えるものも存在するのですが、測定データの取り込み可能な項目数(パラメータと呼んでいますが)と、秒あたりデータサンプリング出来る数のレベルが比較にならないレベルでフルコンの方が多くなります。
例えば、このJで使っているフルコンの場合、現状でログ記録しているパラメータ数は75項目、データサンプリングスピードは最大のもので毎秒200回と設定していますが、この数値はまだ控え目で更に多くの項目を毎秒1000回迄記録する様にする事も出来ます。
さて、記録された多数のログデータの内で、キャブレターセッティングの為にとりあえず見てみたいものを並べたものがこれです。
上から
エンジン回転数
インテークマニホールド圧力
マニホールド圧力の変化率
エンジン負荷
スロットル開度
スロットル開度の変化率
空燃比
点火時期
点火時期の補正値
使用ギア
速度
シリンダーヘッド温度
吸気温度
オイルライン油圧
バッテリ―電圧
となります。
このログデータからは色々な事が読み取れます。
ちなみに使用ギアの判別には専用センサーを使わず、エンジンの回転数と車両速度から計算して割り出したものを表示してあるのですが、速度と回転数に使用ギア、そしてスロットル開度の動きを見ると走行状況を非常にイメージし易くなる為、その際の空燃比を見ればどの様にキャブセッティングを行えば良いかも見えてきます。
又、点火時期を3D化しながらセットアップするには低負荷巡航中のアクセル開度がどの程度かを知る必要もあるのですが、高速道路を5速で緩やかに速度一定で走った開度数値を見れば簡単です。
ちなみに、ここで使用しているLINK社のECUの場合、最もベーシックなタイプでも本体にログ機能が備わっている事と、それを視覚的に読み出し表示する為のソフトウェアが非常に秀逸なのですがメーカーサイトよりフリーでダウンロード出来る為、ユーザーさんにはインジェクションやキャブレターを問わずお勧めしています。
どの様にキャブレター車のセッティングに使えるのかは追って具体例を紹介しますが、例えばこの様にスロットル開度と回転数縦横軸にして、空燃比数値を色で表示する事が出来ます。
こうなるとどこが薄いのか濃いのか、スロットルを一定での走行中なのかどの様に開けた時なのかも一目瞭然ですね。