キャブコンや現在入庫セットアップ中のインジェクション車用のシリンダーヘッド温度センサーアダプターの製作です。
プラグの座面にアルミ製のアダプターを挟み、ヘッドに密着させてその温度をマウントしたセンサーからECUに送ります。
より精度を上げる為、センサー取り付け時には熱伝導グリスをネジ部分に塗布しています。
ちなみに、アダプタ―のアルミ板自体がガスケットの役目を果たしますので、イグニッションプラグ側のガスケットはカットして除去します。
さて、この方法の場合燃焼室に最も近い部分の温度が測定できますが、それで何が出来るかです。
まず、空冷エンジンの場合ヘッドの温度は油温等より非常に運転状態をレスポンス良く反映します。冷間時から数十秒でみるみるシリンダーヘッドの温度は上がる事が検知出来る為、始動時や暖機終了前の燃料増量や点火時期コントロールに適しています。
エンジンが冷えている間は点火時期を進めて少しアイドリングから発進時の回転数がスムーズに上がり易い様にして安定させ、暖機終了後にヒート気味になった際には遅らせる事で必要以上のアイドル回転上昇を抑えてやる等です。
この為、インジェクションに限らず点火時期のみにでもフルコンを使用した場合、キャブレターのアイドルスクリューを暖機状態に合わせて都度操作する事が殆ど無くなったりします。
又、空燃比等のログデータを見る際にも、その走行状況が暖気終了前なのか、それともヒート気味になった際なのかを判断する為の重要な要素になりますし、例えば走行中風が当たり続けた状態と停車中のヘッド温度の違いを知る事も空冷エンジンには非常に大事です。
さて、空冷Zでエンジンの温度と言えば、先ず通常はオイル温度を連想される事とは思います。
もちろんオイルを適正な状況で性能を発揮させるのに油温を知る事は悪くは無いのですが、エンジンオイルは運転状態に対しての変化が極端に緩慢な為、運転状態を知ったり制御に使うデータとしては使いづらい側面が無いではありません。
この為、運転状態を知る為としてはヘッド温度の方が適していると考えています。
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