配線コードの延長方法については何度か紹介していますが、主に注意事項についてです。
インジェクション化されている現行車の様にセンサーが多数存在する車両と異なり、Z系時代のクラシックバイクでは、配線の全てが電力を流す導線となっています。
従って、配線や端子を接続する為のカシメ部分等には抵抗が可能な限り低くなっている事が望ましいです。
特にコード同士を接続する様な場合、金属同士を接触させてもその間には抵抗が存在するのですが、接触面積を増やしてやれば抵抗は下がります。
そこで、特に大きな電流の流れるメイン電源や発電系のコードを延長加工する際には、長目に被膜を剥いて重ねて半田を染み込ませる様にしてやる事で芯線同志が一体化します。
目的は抵抗値を下げる事にありますので、写真の様に半田はごく僅かでも大丈夫です。
白く見える錫メッキ銅線を使っているのは、銅が剥き出しのものより大きな電力が流れた際の発熱による酸化への耐久性が高い事と、半田の流れが良い為です。
又、半田付けが出来ない場合はこの様に配線を長目に重ねて複数個所でカシメてやる事でも、それ程大きな電流でなければ問題無く流せます。
ちなみに、この様に半田付けしたりスプライスでカシメた部分は芯線が一体化して導線としての柔軟性が無くなり、オートバイの様に振動が多い環境で使用すると弱くなる部分にストレスがかかり折れてしまう場合があります。
そこで、割と硬度のある収縮チューブを長目に被せて保護してやります。目安としては半田付けした幅の倍程度としていますが、こうしてやると振動が分散される為、折損は防止出来ます。
さて、非常に大事な事ですが、車両整備中に配線加工を行う際に収縮チューブを手早く熱して処理するのにライター等の火気を使う場合はガソリンに対して特に注意が必要です。
フューエルタンクを取り外す事はもちろんですが、キャブレターも抜いたホース内やフロート室へ繋がるホース等からは揮発したガスが発生しています。
ガソリンの残ったキャブレターは取り外すか、それらのホース廻りは全て塞いで換気が必要です。
又、開放型のバッテリーの場合は特に走行直後や充電中にホース部分から発火性のガスが出ています為にバッテリーは取り外した方が無難で、特に搭載したまま充電中の火気使用は厳禁です。
発火事故は滅多に起きるものでは無いのですが、万が一の場合は大変な事になりますので必ず留意して下さいませ。