その1ではエンジン内部の細かな異物がポンプ内を削る事によるボディ内部の消耗について記事にしました。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=29950
但し、それについてはエンジンメンテナンス時に異物を混入させない様にする事である程度は回避出来ます。(エンジン破損等で内部で多量の異物が発生した場合はやむをえませんが。)
回避できないのは、エンジンを運転させる事で必ず摩耗してしまう部分です。
オイルポンプはギアでZエンジンのクランクシャフトからの力を受けて運転中は常に回っています。
ポンプギアの軸を常に支えているボディ側の軸受け部分は運転時間と回転数に応じて消耗します。
軸部はエンジンオイルで支えられてはいるのですが、それでも万kmの単位で走行を続けたものものは確実にボディ側の穴が縦方向に大きくなる為、その分ギア外周とボディ間のクリアランスは大きくなってオイル圧送力が低下する様になります。
使用したオイルポンプボディの軸受け摩耗状態とクリアランスの拡大については、以前に詳しく記事にしていますので、そちらも参考していただければと思います。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=22500
http://www.pams-japan.com/diary/?p=22947
実際のところ、内部に傷も無く正常に思えるポンプでもギアが着く側のギアを動かして僅かにでもガタを感じられる様であれば、その能力はかなり落ちていると考えた方が良いです。
ちなみに、この軸受け部を必要以上に減らさずに使うには、適切な暖機運転が大事です。
オイル温度は季節にもよりますが、シリンダーヘッドが暖まっても80〜90℃と言われる適正温度になるには皆さんが考えるより時間がかかります。エンジンを始動した直後、温度が上がっていないエンジンオイルは非常に粘度が高く、その状態でポンプを回そうとすれば大きな抵抗になりますが、クランクシャフトからは強制的に回される事になります。
その結果軸受け部には非常に大きなストレスがかかってしまうわけです。
例えばそれなりのチューニングエンジンでも、冬場のストリート走行では30分走っても適正温度と呼ばれる80℃に達していない場合も多々あります。
真夏でも適温に達する迄には流す様に走っても15〜20分以上かかるのは普通です。
ちなみに1983年頃迄のZ1000J系ポンプ迄は、ポンプギア回り止めピンの太さが3㎜で、これが弱い為に摩耗すると言われる場合もあるのですが、オイルが温まり切る前に回転を上げた走行頻度が多いと、ボディ側軸部はもちろんこのピンにも非常に大きな抵抗負荷がかかります。
その為実際にこのピンに摩耗が見られる様なポンプは、ボディ側軸受もそろそろ使用限界かなと思える程度の摩耗が起きているものが多いです。
この為、暖機は始動直後のみでは無く、ゆっくりとオイルを含むエンジン全体はもちろん足回りやタイヤを含む車両全体をならすイメージで徐々に進めてやると、オイルポンプそのものも長持ちします。
それでも今迄書かせていただきました通り、長年使ったオイルポンプはボディそのものが消耗する為、確実に性能は低下してきます。
チェックした際にそれが確認出来る場合は交換を考えて下さい。