先日アップしたバルブの動作画像もそうですが、カムやピストンの選択に面研の量の組み合わせで、どの程度バルブが突き出してピストンとのクリアランスがあるか、バルブタイミングを変化させながら目視確認出来るというのは便利です。
さて、遊びでは無いのですが、むしろ思いっきり常識から外した組み合わせを行うとどうなるかも、簡単に確認する事が出来ます。
例えばですが、ヨシムラさんとこのST2カム、これを純正のピストンに組み合わせたらどうなるか?
エンジンカスタマイズの常識から考えれば、ST2クラスのカムはバルブリセスの深めに取られたチューニングピストンと組み合わせて使うものであって、純正ピストンと組み合わせて使ったりすれば低回転域がスカスカになるのが目に見えていますから通常そんな組み合わせでは使いません。
ただ、付属のマニュアルには純正ピストンと組み合わせて使うなとも書いてはありませんので、あえてやってみます。
予めリセスの深いピストンを使って、指定バルブタイミングに合わせてから、一度ヘッドを取り外してピストンを交換し、再度組み立てます。
それでクランクを廻してピストンを上死点に持って来ると。
エキゾーストは問題ありませんでしたが、インテークバルブは見事に接触しました。(笑)予想していた通りです。わかっててやるなという気もしますが。
では、どの程度のバルブタイミングにすればクリアできるかも確認してみましたが、インテークを基準から10数度も遅らせて、やっと接触しなくなる程度です。
通常はそこまで遅らせたバルブタイミングは、公道用でもそう使う事はありません。従って、ノーマルピストンにヨシムラさんとこのST2カムは使えない事がはっきりしました。
別にマニュアルにそんな事は書いてないと言って、ヨシムラに非があるわけではありません。各社のハイカムのマニュアルも同様です。むしろST1の様に一般的にはノーマルピストンに組み合わせて使用が出来るハイカムという方が少ないのです。
さて、別の組み合わせ。
Zのエンジンを診ていると結構な割合で見るのが、インテーク側カムをカムチェーンにセットする際にスプロケットを一コマ分、早めに組んでしまっている間違いです。
これは最初の基準ピンを0として数えるべきところを、1として数えてしまった為の間違いである場合が多いのですが、これをやってしまうとどうなるか?
再現してみます。
ちなみにカムスプロケットギア30丁のZ1系の場合、1コマずれるとバルブタイミングは12度変化します。
カムチェーンが新品である場合の様に正確にバルブタイミングを取ると、ピストンが上死点近くにある時にインテークバルブが軽く接触する様になります。
これが中古車等でカムチェーンが若干伸びている場合に限り、本の若干ここからバルブタイミングは遅れますのでギリギリ当たるか当たらないかとなります。
調子が悪いと言われて開けたエンジンのインテークバルタイが上記の通り一コマ分早い方に間違っていて、ピストンヘッドのインテーク部分に軽くカーボンを潰した様に接触痕があるのにバルブは曲がって無いみたいな奇跡的なクリアランスになっているものも何度か見た経験がありますので、正に確認出来る通りですね。