弊社より販売しております、ESバルブスプリングです。
アウタースプリングには卵型断面の特殊鋼線を使用する事で、ハイリフト時の密着迄の十分な余裕を持たせてありますが、実はそれ以上に耐久性面で大きなアドバンテージがあります。
まずバルブスプリングですが、工学的な理論も基本構造自体も100年も昔に確立されてからほぼ変わっていません、但し素材となりますばね鋼は10年〜15年毎程度に大きく進化しています。
まず、スプリングは長年圧縮を繰り返すと徐々に自由長が短くなります。
ちなみに、工学上ばねのレートそのものはほぼ変わりませんので、それで柔らかくなる事はありません。これがどういう事かといえば、サスペンションの場合は車重がかかっている分車高が下がります。
ところがバルブスプリングの場合、自由長が短くなってもヘッドに組み込みされている際の圧縮高さは変わりませんので、相対的に縮める量が少なくなります。
例えばバルブが閉まっている時の荷重は低くなりますし、同じ高さをリフトした際も同様です。
ちなみにZ1系の純正スプリングの場合は1970年代の鋼材ですが、STDのカムシャフトを使用するノーマルエンジンでも新品時から10,000kmも走行した時点でバルブにかかる荷重は10%程度低下して、以降も下がり続ける為、数万kmも走ってオーバーホールする際には交換せねばならなくなるのが普通です。
更に80年代以降のZ1000J,R系の純正バルブスプリングの場合、弊社の測定では15,000km時点で10パーセント、30,000km時点では15パーセント以上の荷重低下となります。
ちなみにゼファー1100は同じスプリングで、2000年代初頭迄使用されました。
もちろんメーカーも新品時からの荷重低下は計算してマージンを取りながら設計はしている筈なのですが、以降も距離を重ねれば更に低下していきますし、もしも純正よりリフトの高いハイカムを使用した場合は大きくなった圧縮を繰り返す事になりますので更にその低下度は大きくなります。
純正のバルブスプリングで対応可能であるとされていても、あくまでそれは新品時の話であって、ノーマルの車両と同様の寿命は期待出来ません。
さて、弊社のバルブスプリングは卵断面といった形状のみでなく、2010年〜2015年頃に鋼材メーカーがメインに生産供給を行う様になったものを使用しています。
このスプリング鋼は20世紀時代の物より遥かに耐久性が高く、乗用車用として使用した場合は100万km迄無交換使用が可能である事が目安とされているそうです。
実際にZに使用した場合、どの程度の違いが出るかのサンプルがありますので公開しておきます。
サンプルはZ1000J,R用の純正バルブスプリングと、弊社ESバルブスプリングタイプSです。
使用環境は、ST1カムと呼ばれるIN 9.50mm EX9.0mmリフトの市販ハイカムで、使用走行距離は共に15,000kmのストリートです。
まずZ1000J用純正の比較 左が新品です。
アウターは約1mm インナーは約0.5mm 縮んでいます。
インナーの縮み割合が少ないのは線径や巻き径他による形状の違いのせいですが、この状態でヘッドに組み込まれている場合、バルブへの荷重は新品時から約12パーセント低下しています。
走行距離の割に低下の幅が大きいのは、Z1000J,R系の純正カムリフトに対してこのST1カムの方が若干ですがリフト量が高い為もあるでしょう。
こちらはESバルスプリング
同一条件、同一距離をST1カムで走行したものですが、新品スプリングと並べても目視で高さの違いは確認出来ません。
実際に測定しても新品時の製造公差のレベル内に収まっており、現状での自由長変化は無いものと考えられます。
ちなみにESバルブスプリングは、ハイリフトにも対応可能な様にZ1000J系純正よりも巻き数は少なくなっています。素材が同じであれば巻き数を少なくした場合、同じリフト量でも変形度が大きい為に早く短くなるものですが、ばね鋼材の進化で旧来の純正スプリングに比較しても耐久性面で上回っています。
又、耐久性や性能を損なわずに巻き数を少なくする事でばねの上下する部分の重量は軽くなる為、これもまた大きなメリットとなります。
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