弊社のオートカムチェーンテンショナー用ロッドです。
特徴としては、ロッド先端に厚手のラバーブッシュを組み込みしているところです。
これはテンショナーアームフレーム側を直接金属面で押して傷めない様にする目的はもちろんなのですが、以前にも記事にした通り運転中のエンジンのシリンダーブロックやヘッド等の熱膨張によって、冷間時よりテンションが強くなるカムチェーンの張りを逃がす為もあります。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=28148
ちなみに、純正でオートテンショナーになっているMK2も同様にロッド先端にはラバーが装着されているのですが、そちらは加硫接着と呼ばれる焼き付け整形にて平面に固定、弊社のものは厚さの半分以上をカップへ埋め込む挿入方式です。
何故にこの様にしているかと言えば、ある程度使用したこの部分のゴムはかなり潰れて変形し、弾性が失われてしまうこと。例えばエンジンがヒート気味になった際に張りの吸収が出来なくなってしまいますので、テンショナーの整備時には交換出来る様にと考えた為です。
その際に容易に取り外し交換出来る様、平面への加硫ではなくゴム用接着剤にての固定としています。
ちなみにこれも弊社で製作しているテンショナーアームのローラーは加硫接着にて成型しているものですが、これは交換時にはアームアッシとなります為そうしてあります。
ローラー同様にロッドにラバーを焼き付けてロッドアッシでの交換もありなのですが、弊社のテンショナーの場合、リテーナーボール数を増やしてあるものを使用して表面硬度もMk2純正のものより高くなっている為ロッド本体部分の寿命は非常に長いです。
その為ユーザー側のメンテナンスコストを考慮してラバー部分のみを個別に交換出来る様にしました。
脱落の懸念を聞かれる場合もたまにあるのですが、ロッド先端にラバー厚さの半分以上が入っています事と、正常なエンジンでテンショナーのフレームを押している限りは運転中に落ちる事は無い構造になっています。
唯一注意いただきたいのは、大幅な面研やカムチェーンの伸びにより弛みが極端に大きな車両の場合。
上の写真に比べるとテンショナーアームが下の様に大きくスイングする事になります。
弊社カムチェーンテンショナーはロッドのストロークが純正より大きい為、それでも使用可能範囲にはあるのですが、この際にはラバーが先端部ではなく中心から外れた外周部でテンショナーアームフレームを押しています。
運転中はそれでも落ちる事はありませんが、外周のみ押し続けられるとラバーの変形消耗が大きくなり、テンショナー取り外し時に先端ラバーが半分ほど浮いているものを見る事はあります。
その状態でそのまま再度テンショナーアッシを組み込むと、テンショナーフレームに当たる前に脱落する可能性が高くなりますのでラバーは交換する様にして下さい。
柔らかいゴムですので、脱落したものがエンジン内部を破損する様な可能性は無く、万が一内部で噛み込んでも砕かれるだけですが、ラバーブッシュが無いまま運転すると金属ロッドが直接フレームを押す為、本来の機能が発揮出来ないばかりかそれらの部品を痛める可能性もあります。
原理と理屈をご理解いただいているユーザーさんは大丈夫かと思いますが、取り扱いマニュアルの方にもその旨特に記載させていただいています。
さて、交換時に使用する接着剤ですが、先端のカップ内を清掃脱脂した後に2液性のエポキシや瞬間接着剤を使うのが良いでしょう。
上記の通り正しく組み込んであれば運転中に脱落する事はありませんので、グリスを塗って仮固定してやっても動作的には問題はありませんが、取り外しの際に脱落する可能性が高くなります。
やはり接着での固定がよろしいかと思います。
テンショナー販売時には交換用ラバーを2個セットの中に同梱していますが、整備用に追加でご購入する事も出来ます。