これは、Z1系のジェネレーターカバーです。
Z系の様なクラシックバイクは、そのパーツ一つ一つが重く重厚なイメージがあるのですが、カバー単品で測ると昨今のオートバイのものよりもむしろ軽く、場合によってはマグネシウムで出来ているスーパースポーツ用のカバーにも匹敵する程です。
軽さの理由は、実は非常に薄肉に作られている為です。
Z1系の発電システムはインナーローター方式で、ステーターコイルはその外周を巻く様な形状をしています。この為センター部分でステーターコイルを支える必要が無いので、外周部分はカバーとしての剛性を保てる程度の厚さとなってはいますが、横面部分は非常に薄くなっています。
不要なカバーに穴を開けてみたところですが、
最厚の部分でも3mmあるかないかで、2mm台の場所もあります。
ここ迄薄いとセンター部の剛性や共振音の発生等を気にされたのか、内側に3本のリブが入っています。
当時としては4気筒の大型車で、エンジンがそれなりの重量になる事は想像出来たと思うのですが、各部の軽量化には設計者の意地の様なものを感じます。
実際ジェネレーターカバーのみに限らず、Z1系の初期型ではポイントカバーも非常に薄いものですし、カムシャフトに至っては鍛造クロモリ鋼素材をガンドリルで中空加工されていたりもしています。
ただ、ジェネレーター側を下にしてバイクを倒して、運悪く角でなく石や段差等でこの横面に力が加わると、当たり所によっては割と簡単に穴が開いてしまう場合があります。
出先でそうなってしまった場合、運転するとエンジンオイルが流出してしまいますので自走で帰宅できなくなるケースがあった為なのか、それ以降のKZ1000用の純正カバーでは、外側のデザインは変更せずに内部を全体的に肉厚に作られる様になっています。