Z1のジェネレーター廻りの整備です。
開けたところ、ノンアスベストタイプのガスケットが使用されていました。
このタイプのガスケットは、カワサキの純正でもZ系のエンジンの色々な場所に使用されています。(サーモンピンクの色の物がそれです)
密着やオイル漏れ耐性はそれなりに良いのですが、耐熱ファイバーをバインダーでシート状に固めて製作されている為、数年程度経つとプラスチックの様に硬化して、少々性質の悪い事にまるで接着剤で貼り付けた様にガスケット面にアルミと一体化してしまう事が多々あります。
こうなったものは容易に剥がれない為、カッターや剃刀の刃を使って少しずつ薄く削いで除去するしかありません。クランクケースやカバー側に不必要な傷を入れない様に作業するには気を使い、非常に時間もかかります。
最新の注意を払ってガスケットを可能な限り除去した後、目の細かいオイルストーンを使用して僅かに面に残ったガスケットのファイバーを擦り落とすと共に、当たり面を綺麗に清掃します。
このガスケット除去作業、上のノンアスベストタイプや、更に古いZの新車当時物のアスベストシートだったりすると更に硬化度は強く、アルミを腐食させる様な場合もあります為、面出し迄を含めると整備の作業時間の半分以上がそれに費やされる事も稀ではありません。
ちなみにノンアスベスト材の次に主流となったカーボングラファイトの場合は素材そのものが硬化する事がありません。分解時にガスケット面に密着して残っても、樹脂や木製のスクレーパーで簡単に取れます。
さて、今回の整備では弊社取り扱いのNBRガスケットを使用します。
金属プレートの表面に、薄くフォーム状になったNBRシートを生成したガスケットシートになっているものですが、柔らかいNBRゴムは面に当たってしっかりとシールはするもののガスケット面への張り付きが無い為、次回の整備時には一瞬で綺麗に剥離が出来ます。
刃物で気を使いながらの長時間作業から解放されますね。