ノーマルテンショナーではカムチェーンを張りきれない。
エンジンからカムチェーン関係らしき異音がするから診て欲しい。
という事で遥々三重県からドックインとなった750 FX1。元々ノーマルはフルオートタイプのテンショナーが標準装備ですが、フルストロークしても張りきれないとの事で、若干ストローク量の多いZ1系のノーマルデンショナーに変更されていました。それでもやはり張りきれずカムチェーンの伸びをオーナーさんも疑っていました。
弊社取扱いのジョイントリンク・カムチェーンを使用し、腰下を割らずにチェーンのみの交換という予定でしたが、いざヘッドカバーを開けてカムシャフトを取り外してみると、アイドラーギアにダメージが認められたため、オーナーさんとご相談の上アイドラーやテンショナーローラーも交換する運びとなりました。ヘッドを下しまずはテンショナーローラーASSYを取り外します。
樹脂製のローラーもかなり摩耗が進んでいます。
アイドラーギアもこの様な状態です。一応まだ機能はしていますが、このまま走り続けると更にダメージが進みます。
シリンダー前方のアイドラーも同様の傷み方。どちらかと言えばこちらのアイドラーギアの方がダメージを受けている確立が高いです。カムチェーンのテンション調整に問題があった場合、こちら側はチェーンに叩かれるように駆動されます。
本題でもあった伸びきったカムチェーンの交換。腰下を割らずに作業が出来るメリットは費用対効果としてもかなり有利になります。
純正新品に交換のアイドラー＆テンショナーローラー＆ダンパー。ダメージが無ければ磨いてシャフトは再利用します。
FSメタルヘッドガスケット。表記は65mmの1.3mm厚を表しています。
カムメタルにも傷みが確認された為、純正新品に交換。
PAMSフルオートテンショナーを使用して頂きました。フルオートとなりますのでメンテナンスフリーです。
カムチェーン及び周辺パーツのトラブルは、エンジンブローという最悪のシナリオも可能性として否定できない為、今回も転ばぬ先の杖としてオーナーさんの判断は正しかったと思います。
今回の作業と同時に消耗品等の交換も済ます事が出来たため、当分は安心して気持ちよく乗って頂ける状態になったと思います。
遠方からのお越しを有難うございました。
