ハイカムを作っているメーカー問わず、一般的にST1やStreet用とされるベーシックグレードのZ用カムは、特にエンジンを弄る事が無くともそのまま組み込みが可能とされている場合が多いです。
但し、これらのカムは、STDより最大リフトも作用角も僅かながら大きく取られている場合が多いので、ピストンが上死点に来た場合、バルブとピストンヘッドの間隔も近くなる事になります。
さてそれがどれくらいかと言えばですが、例えばZ1のスタンダードカムで、純正ピストンが上死点に来た際、インテーク側のバルブ傘面とピストンヘッドのクリアランスは約1.5mm程度です。
これがST1クラスのカムを組み付けると、作用角と最大リフト量が増加している関係で、1mmを大幅に切ってくるのが普通です。
カムのメーカーにもよりますが、指定バルブタイミングで組み付けするとピストンとのクリアランスが0.4mm程度のものもありました。
下の写真ではインテークバルブがピストンと近くなっているのがわかります。
ちょっと近いと言うか、思ったよりクリアランスが少なくなるという気もしますが、正しいチューニングとは、純正で余裕を持って取られているマージンを削っていく事から始まります。
一応これ位詰めたクリアランスでも、実際の使用でバルブとピストンがヒットしたという経験も話も聞いた記憶はありませんので、実用上の問題は無いのでしょう。
但し、ST1クラスのカムを組んだだけでも、ノーマルのピストンを使用した場合はどれだけ余裕分が減ってるかの認識はしておいた方がいいかも知れません。何せこれ位のクリアランスになると、インテーク側のバルブタイミングを指定から5°程度も早くしてしまうとピストンに接触してしまいますので。
ちなみに、アジャスタブルカムスプロケットを使用してカムを組み付けする際の注意
特にクリアランスに余裕が無いのがインテークですので、カムの組み込み中にリフトしたバルブがピストンヘッドに当たらない様、スプロケットを組む際にはこの様に少しカムが遅れる方向に仮固定してやるのがセオリーです。
これで、指定のバルブタイミングを出す際にはインテークを少しずつ進めていく方向で合わせていくと、組み付け中にバルブを曲げてしまう様なリスクを少なく作業が出来ます。