チェンジレバー裏側のエンジン内部に組み込まれているチェンジリターンスプリングです。

Z1,Z2(RS)系のみが3巻きなのですが、以降の車両に使われている4巻きのものとの比較です。

チェンジレバーのストロークは全く同じなのですが、巻き数が少ないという事はスプリング線材の長さあたりねじり量は3巻きの方が大きくなりますのでどうしても負荷が大きく、長年の走行でシフト回数が多い場合は折損する場合も少なからずあり、出先で起きるとチェンジレバーがセンターに戻らなくなる為事実上ギアチェンジが出来なくなります。
(ちなみに折れる直前になると妙にシフトレバーの操作反力が柔らかくなりますので、要注意です。)
Z900以降4巻きタイプに変更されたのはやはりそういった理由があるのですが、ケース側のスプリングが収まる部分が異なる為、3巻き時代のクランクケースに4巻きスプリングは組み込み出来ません。
その為、オーバーホール時はもちろんトランスミッションカバーを開ける様な整備を行う場合は必ず交換してしまうのが最も予防になるのですが、Z1,Z2用の純正品はかなり以前にメーカー販売終了となってしまいました。
高年式車両の似通った形状の純正品は存在するのですが、内径が違う為に組み込みするとクランケースの公差によってはレバーの動きがむしろ悪化する様な場合があり、やはり適正サイズで作るしかないとかなり以前に試作からの再製作を行うと記事にしています。
作るからには完璧を期したく、それから1年以上の試作と実車テスト期間を経て、確実な操作、精度、耐久性を重視し製作したものを先日やっとラインナップに加える事が出来ました。
https://pamswebshop.my-store.jp/shopdetail/000000000223/ct43/page1/recommend/

バルブスプリング同様、50年前から工学的なスプリングの理論は完成しており変わりませんが、それに使われる鋼材は当時のものより遥かに品質が高く、更に疲労による破損も起き難くなっていますので、
転ばぬ先の杖として、Z1,Z2(RS)系を整備する際には可能な限り交換しておく事をお勧めします。