Z系エンジンのシリンダーブロック上面にある、カムチェーントンネル周囲のセンターシール溝。

2年程前にも記事にした事があるのですが、この溝の底部はシリンダーブロックを鋳造された際の鋳肌のままの為、完全に均一深さになっているブロックはむしろ少ない位です。
https://www.pams-japan.com/diary/?p=25564
このブロックではエンジンの前後で0.22mmと、10%程度の差がありました。


弊社では数々のブロックを測定しての平均値から、同じ手法で測定した場合の深さを2.2mmとしていますが、実際2.0mmを切っている部分のあるオリジナルブロックも少なからずあります。

もちろん面研等を行っていないか、荒れや傷を除去するのに最小値(0.1~0.2mm迄)程度の面研を行った程度では問題になる程の誤差では無いのですが、シリンダースリーブを交換した際の仕上げ面研等でコンマ数mm程も上面を研磨したり、圧縮比を上げる目的で標準より薄手のヘッドガスケットを使用する場合は注意が必要になります。
センターシールの耐久性を考えると、Z系の場合センターシール線径が4mmのところでエンジンを組んだ場合の圧縮率は80~85%程度で、溝の深さ+ヘッドガスケット厚=3.2~3.4mm程度が望ましいです。

これが70%(2.9mm)に近くなると、破断こそはしませんがシール径断面の永久変型が起き易くなったり、更にそれを下回ると耐久性が低下してくる場合があります。
例として、溝深さ1.9mmで0.9mmのヘッドガスケットを使用した場合2.8mmとなりますので、このブロックの場合は少しシールに無理はかかりながらぎりぎりといったところです。
更に0.7mmガスケットでは65%の2.6mmとなりますが、この組み合わせではシールが破断した実例もありますので、注意が必要です。