去年より年越し組だったエンジンの内2機がほぼ完成状態に。
こちらは750FX1のエンジンです。STDスペックにてキッチリ組ませて頂きました。純正0.5mm OSピストン仕様です。
ノーマルカムシャフト。とても良い状態のカムで摩耗も殆どみられませんでした。最近では見た目にキレイでも、計測してみると大幅にマニュアル上の使用限界を超えてしまっている物も少なくありません。走行距離もそうなんですが、やはりオイル管理の違いがモノ言う所かもしれません。
スターターモーターも純正新品に交換。本来の物よりもコンパクト且つ強力です。勿論、無加工ボルトオン。
後期1000PモデルのクラッチハブをベースとしたコンバートKITを組み込みました。バスケット部分が鉄から鍛造アルミへと進化しています。
あともう一息です。
こちらは1100Rエンジンです。上のFX1とほぼ似たような進行状態です。カムラインの狂いにリフターボアの編摩耗とヘッドの修復に手のかかったエンジンでした。全体で見れば数の少ない1100Rですが、過去の事例を振りかえすと数の割には確率的に傷み方の酷い物が多い様な気がします。
こちらもノーマルカム仕様です。リフター&ホールの傷み具合から心配していたのですが、計測してもほぼノーダメージでホッとしました。因みに1100Rのノーマルカム、最大リフトで約9.5mm、作用角も下手な社外ハイカムよりもパワー指向だったりします。必要としないのなら敢えてハイカムを組むこともありません。
クラッチハウジングにSETされたスプリングダンパーは他のZ系と同様ですが、この1100Rではご覧の様にクラッチハブインナーにSETされる「クラッチカムダンパー」を装備しています
シャフトドライブ仕様のZ1000STや公道仕様ではありませんが1000S1等にも採用されていました。両社に共通するのは駆動輪側にダンパーを持っていないという事で納得ですが、Rホイルにハブダンパーを装備していた1100Rに採用されたのは、カワサキ最後で最強の空冷を目指した故に増大したパワーに対しての処置だったのかもしれません。因みに、バックトルクリミッター(スリッパークラッチ)と混同される事がございますが、バックトルク・すなわちエンブレ時のみクラッチを滑らせる動作に対し、このクラッチカムダンパーはスロットルのON・OFF両方へダンパー機能を有しています。
ただし、前者が敢えて半クラ状態でRタイヤのスリップを抑えたりエンジンを保護する事を目的としているのに対し、後者はあくまでもエンジン・駆動系を保護する為のダンパーでしかありません。すいません、話がクドく面倒臭い流になってしまいました。
見た目には1000Jや1100GPとそう変わらぬルックスですが、クランクもピストンもヘッドも全てこの1100R(GPZ1100)用専用設計の別物です。それ故にトラブルを多く抱えた個体では、今後メンテナンスそしてOh等で悩む場面が出てくる可能性も高いと思います。
どうしてもこの1100Rのエンジンは語りたくなってしまうのですが、要はもうすぐ完成します!とオーナーさんにお伝えしたいだけだったのです。笑