腰下からのエンジンOHメニューで分解の完了したZ1エンジン。そして各部の目視確認作業から洗浄作業に入ります。まずは粗洗い、そして洗浄台を本洗い用へと移してゆきます。各部の状態からして当時川重からラインオフされ初めて開けられたエンジンだと思います。
この洗浄作業では、長年の汚れをエンジンの内外共に洗い流す事が目的ですが、洗浄しながら各部の状態を把握し異常がないかのチェック等も含まれています。
画像上はインプットシャフトの端に位置するニードルベアリングレースの受け部分です。そしてベアリングにオイルを供給する穴が見えますが、何やら異物の様な物が詰まっていますね?
指先に付着したのは切削粉の様なもの。もう少し掻き出してみましょう。
するとご覧の様に後から後へと出て来たのは切粉です。実際に出てきた量は画像の数倍ありました。
マグネットに反応しない事からこれはアルミと思われます。従ってこのエンジンが製造加工されるクランクケースのオイルライン加工工程で、本来はキッチリと取り除かれていなければならない切削粉がオイルライン内に残ったまま、それがオイルに押されてココに溜まってしまったのだと思います。そうです、新車時からこの様な状態だったわけです。
幸いな事に、これが原因と思われるようなダメージは出ていなかったものの、オイルライン内にこの様な異物が残っているのはどう考えてもアウトです。
正直、当時の空冷Zエンジンはこの辺りの生産品質管理にムラがあったのか、他にもオイルリターンの穴をあけ忘れていたり、今回と同様の例もあったりが決して少なくはなかったりします。
いつもにも増し気を使ってオイルライン洗浄を行います。