まずZを含む空冷エンジンの暖機ですが、読んで名の如く空冷ですので冷却のメインはシリンダーヘッドやシリンダーに装備された空冷フィンの周囲を流れる空気です。
エンジンオイルは水冷車の冷却液に比較して熱伝導率が極端に低い為に暖まり難く、更に水冷車と異なり空冷エンジンの場合は最も温度の高い燃焼室近辺をオイルは流れませんから特に冬場にはエンジン始動後の油温上昇は緩慢になります。
例えばですが、気温が5~10度となる都内のストリートを流した場合、オイルクーラー非装備の1100cc超のチューニングエンジンでも80℃に達する迄に30分以上かかる例もあります。
従って、エンジンオイルの温度=エンジン運転温度ではありませんから、暖機の目安はシリンダーヘッドの温度が上昇してアイドリングが安定する迄を目安にしてください。シリンダーヘッドに素手をかざすと、ほんのりと暖かさが漂ってくる程度です。
もちろんその状態では油温は少しずつ上昇を始めたと言う程度でオイル粘度も高くて抵抗になりますし、エンジンの各部クリアランスも高負荷をかけられる程迄には適正にはなっていませんので、あくまでゆっくりと走行し、走りながら全体を暖める様にして下さい。
お問い合わせを受けた際の事ですが、結構Zの暖機運転については勘違いされている事が多い様で、水冷車の様に油温をチェックしながら温度が完全に上がる迄停車したままずっとアイドリングで行ってしまうと、冬場でも空気の流れないシリンダーヘッド周辺のみがオーバーヒート気味にもなりかねません。ご注意下さい。