前回記事の続きで動画バージョンです。
キャビテーションテスト
上は脱泡前のオイルを使用し可視化したダンパー内でどんな状況が発生しているのかを再現した動画です。敢えて状況をお伝えするために、脱泡前・脱泡後共にガス圧は掛けていません。
上は脱泡処理中の作業です。撹拌されて泡が発生しているのがわかると思います。
脱泡終了
そして上は脱泡が完了した状態。先ほどの動画と比較して泡の発生がほとんど無い事が確認できます。
そして上が脱泡処理済のオイルを使用した物。脱泡前の物と比較して明らかにキャビテーションが減少した事が分かります。要となるメインピストンに設けられたオリフィスをオイルが通過する際に発生する抵抗が減衰を作り出しているわけですが、キャビテーションが発生する事でオイルの代わりに気泡がオリフィスを通過する様になると、オイルよりも抵抗の小さな気泡では想定した減衰力が失われてしまうといった問題が起こる可能性が高くなります。
この為、消泡剤をオイルに添加したり、ガス圧を掛けて気泡の発生を防いでいるわけですが、このガス圧自体がダンパーの有効可動領域を狭めてしまう事もある様で、極力低圧にてガスを掛け、よりしなやかに、そして乗り心地と安定性を兼ね備えたダンパーチューニングとは?という観点の中で、その一つのトライと結果がこの「脱泡処理」だったというお話です。
勿論、実走行にてテストを繰り返しましたが、少なくとも私達スタッフ全員が体感出来るレベルでの違いを確認しています。
どの道大量供給は出来ない物なのですが、その分手間暇を掛けてでもお客様に合わせ1SETずつ丁寧に作り上げ、お手渡しできる物に出来たらと考えています。