SHORAIバッテリーに限らず、昨今乗用車やオートバイに使われる事も多いリチウムバッテリーは、従来の液入りバッテリーと異なる特性がいくつかあります。
その一つが測定時に示される電圧と、バッテリー内に保持されている電力の関係。
従来の電解液入りタイプのバッテリーの場合、電圧=内部電力量に近いので、電圧が12V超であればまず問題無く車両をセルモーターをクランキング出来る程度の電力がありますが、これが少なくなるにつれて電圧も低下してしまいます。
この為、容量の低下した開放型電解液入りタイプのバッテリーは、容量が低下するにつれて電圧も下がり続け、スタータークランキング速度ははもちろん、イグニッションコイルが発生するスパーク電圧も低下してきます。
それに対してリチウムバッテリーの場合、内部容量が低下しても電圧の低下は割と緩慢です。
写真の状態では、電圧こそ12.5V となっていますが、実はこの状態では内部に残っている電力は最大容量に対して僅かに4%になっています。
液入りバッテリーの内部容量がここまで低下すると、電圧は8Vを大きく割り込む程下がります。
もちろん、この状態ではスターターモーターを使用しての始動は出来ません。
但し、リチウムバッテリーの特性としては、内部容量がほぼゼロになる迄12V 以上の電圧を維持していると言う事になります。
さて、リチウムバッテリーの特性としては、電力の残容量が低下しても満容量時とほぼ同じ速度でスタータークランキングが可能です。
又、クランキング中の電圧低下も少ない為、始動時のスパーク電圧も高めに確保出来るのもメリットの一つです。
デメリットとしては、容量が完全に無くなるまでそれまでと同様の速度でクランキング出来る為、写真の様な内部容量モニターでも使用していない限りそのタイミングがわかり難い事でしょうか。
スターターモーターを回し続けて、回転速度が落ち始めたらもう内部には電力が残っていません。まるで突然死した様に回らなくなります。
もちろん車両が正常であれば、遥かそれ以前に始動は可能な筈ですので心配はありませんが。
完全充電後のSHORAIバッテリー
電圧は14.21V 内部容量は97%
リチウムバッテリーは保管時には満腹状態より僅かに放電させて腹八分程度に留めた方が寿命が延びます。
SHORAIバッテリーの場合は専用充電器のストアモードを使うと、その状態に出来まます。
電圧は13.64 V 内部容量は91%に下がっていますがこの状態でも満容量時と変わらないスピードでクランキングが可能です。
ストアモードには内部の4つのセルバランスを行う機能があるとの事、バランス後の各セルの電圧差は最大で0.01Vに収まっていました。