分解オーバーホールを依頼されたZ1用純正5/8マスターシリンダー。
使用されず置かれた期間が相当に長かったのか、内部でシリンダーピストンが固着して動かない状態になっているものを、ニードル付きのオイルフィラーでブレーキフルードを注入して暫く置いて、内部になるべく負担をかけない様に慎重に抜きました。
ちなみに、インナーピストンが途中で折れているのは、交換前提でピストンを再利用考えずに分解出来る場合こうやってレバー側で折ってしまった方がここまで腐食したリングやクリップでもマスターボディ本体を痛めず取り外し易い為です。
シール部分に僅かに残った以前のフルードが、ザラメの様に固形化して詰まっていましたが、数年位使わなくとも車両に装着されたままでは通常ここまではなりません。
ここまでになると、シリンダー内壁の腐食が心配になります。
腐食で抉れが生じてしまうと、インナーキットを新品にしたとしてもブレーキレバーを握った際にブレーキ圧が抜けてしまったり、ピストンエンド側のセカンダリーシールから外にフルードが漏れ出てきてしまったりします。
そうなると、どんなに貴重なオリジナル5/8マスターとは言え、ブレーキパーツとしては用を成しませんから、使う事は出来ません。
このマスターの場合は、奇跡的に内壁の抉れと言える程の腐食も無く、綿密に清掃した後に新品のインナーキットを組み込めば使用出来そうです。