長年メンテナンスをお任せ頂いているZ1。
今回は少々お疲れ気味となったエンジンに手を入れる事となりました。
旧いエンジンをOHするのなら腰下まで開けなきゃ意味がない!と仰る方もいらっしゃいますが、個人的にそんな事はないと思います。
1~4番まで全体的にコンプレッションも低めです。大体5kg平均といった所でこれではパンチも出ないですよね。ノーマルであってもZ2で10kg前後は欲しいところです。コンプレッション値が低いのはピストンリングやバルブとシートのシール性が低下しリークダウンを引き起こしている事が多いです。
生産から数十年が経過した旧いエンジンという意味では腰下まで開けるべきなのかもしれませんが、それはベストではあってもマストではないと思います。
勿論、状態にもよります。クランクシャフトやトランスミッションに大きなダメージ、消耗が及んでいる場合にはマストとなりますし、逆にその様な状態で腰上だけOHとしたとなれば、元気になった腰上に負けて更にダメージが広がったりギア抜けを誘発したりする可能性も出てきます。
また腰下の消耗がそれほど進んでいない場合を前提としますが、腰上のOHだけでも本来のパフォーマンスを取り戻す事が可能です。ヘッドで言えばシートカットにガイド&ステムシール交換、シリンダーはリング交換またはボーリングの上ピストン交換というメニューですね。これだけでしっかりとした圧縮が復活しオイル食いによる白煙等も止まります。
少々費用は掛かりますが、長年の使用でスリーブに緩みが発生している物も交換がベストです。特に材質の関係かZ1/2系に多く見られます。またバルブガイドには銅系が採用されている事で、後期KZ系に採用された鋳鉄系と比べガイドの消耗が激しいのも特徴です。
でも、どうやって腰下を割らずに良し悪しを判断するのか?という事になりますよね。勿論割らずにチェックできる事には限界があります。
先ずは腰下(主にクランクやクラッチハブ)より明確な異音の発生が無い事。不意なギア抜け等が無い事。そして腰上分解後に画像の様な簡易位相ズレの確認、コンロッド小端部の状態、コンロッドのスラストクリアランス等をチェックしてゆきます。
この車両も腰上を重点的にリビルドメニューを組む予定です。
再び元気なZ2へと復活させます!