新車より卸されて数十年が経つZ系のシリンダーブロックやシリンダーヘッドは、メンテナンスや加工の為に何度か脱着され、その時点で何らかの加工が施されている事は普通です。
これが面研に類する加工だった場合、それを知らずに組み立てを行ってしまうと、意に反して圧縮が上がったりしてしまいますので、分解時には測定と点検が欠かせません。
又、測定する事で、(特にシリンダーヘッド)以前の面研加工の履歴の有無やその幅を計算する事が出来ます。
我々が測定する場合は、数十年程度では歪みの起き難い石製の定盤を使いますが、プライベーターレベルでその様な物を持たれていない場合は、内燃機加工時に加工業者さんに測ってもらうと良いと思います。
Z1~Z1000Mk2迄、この数値はほぼ変わりませんので参考にして下さい。
面研によりこれらの高さが変わっている場合、ヘッドガスケットやベースガスケットで調整してやったり、圧縮計算の際に低くなっている分を考慮に入れる必要があります。
まずシリンダーヘッド。
ヘッドガスケット面からカムカバーが取り着く面(カムシャフトの中心と同軸)迄の高さは105mmです。 オリジナルヘッドの場合、1~2mm/100程度の誤差範囲内に収まります。
次にシリンダーブロック。
89.55mm 少し中途半端な数値の様にも思えますが、相当数のZのブロックを測って来て、これ以上の厚さのものを見た事が無く、オリジナルと思われるブロックの殆どがこの数値でしたので、やはりこれが標準の厚さなのでしょう。
ちなみに、一般的なベースガスケットの厚さが0.5mm。 組み付けてトルクをかけた場合、フルメタルのガスケット以外は多少圧縮されますので、その分を5/100mmと考えれば、ベースガスケットとシリンダーブロック高さを合わせて90.0mmとなる様になっているのではないかと思います。
ちなみにZ1000J系は、ヘッド高はZと同じですが、シリンダーブロック高はZと異なり、90.25~90.30mmあります。
(ところが、市販の鋳造ビッグブロックはZ系と同じ高さ基準らしいので、注意が必要と言う情報があります)
ついでにZのセンターシール溝の深さですが、ここは鋳造で作られたままなので、実はオリジナルのブロックでも深さに個体差があり、更に前後で全く同じ深さと言う事もありません。
最大で2.4mm、最も浅い場合で2.0mmであることもありますから注意が必要です。
あまり浅いところがあると、シリンダースリーブ交換後の面研でシールの潰れ幅が大きくなりすぎて、変形によるシール痛みや破断等の原因になります。
この為、面研後にマシニングでシール溝平面を平均化すると同時に、最も適正な2.2mm前後に追加工する場合もあります。