長年触っていると、たまに出くわすシリンダースタッド上がり。
シリンダーヘッドナットを緩める際に、この場所のみ若干既にトルクが抜けている様な感触があったので、ガスケットの痩せか、増し締め点検をされていなかったのかなと思ったのですが。
ヘッドガスケットを交換して再度ヘッドナットを何度かに分けて締めていくとやはり同じ場所のナットのみトルクの立ち上がる感触が薄いです。
嫌な予感と共にナットを外すと、シリンダースタッドボルトが完全に上がっていました。恐らくクランクケース側の雌ネジが崩れて、ボルトが引き上がって来てしまっていたのでしょう。
ヘッドナットを緩める際に既にトルクの抜けを感じたのは兆候だったと言う事です。
これが走行中に酷くなると、ヘッドガスケットの吹き抜けやシリンダーヘッドの歪みの原因になります。
こちらが反対側の正常なスタッド高さです。
さて、どちらにしても修理せねばなりませんが、シリンダースタッドボルトはクランクケースに対しての垂直度が非常に肝心です。
ネジ山を雑にヘリサート等を施して傾いてしまうと、シリンダーやヘッドが装着出来ません。
正規の方法で修理となるとエンジンを全分解してアッパーケースを加工機にセットして修理する必要があるのですが、ケースの分解組み立てと言うものはエンジンそのものの寿命を考えればなるべく何度も行いたいものではありません。
もちろん内部のオーバーホールを行うのであれば別ですが、スタッドボルト一か所の修理と考えるなら、ここは何とかシリンダーブロック迄の分解で何とか出来る方法を考えてみます。