シリンダースリーブを交換の為に抜き取ったKZ1000シリンダーブロックです。
よくZ1系で起こるのは常温でもライナーが抜き取れてしまう程にクリアランスが広くなっているものですが、このブロックではそれは起きてはいませんでした。
ただ、オーバーサイズのスリーブを入れる為の加工前に、データ取りの為に測定しましたところ、新品の加工時には真円の筒だった筈のスリーブ穴が 長年の使用で歪み、例えばX軸方向では3/100程穴の方がスリーブより小さく締め付けられている状態であっても、Y軸方向では1/100クリアランスで、強く締め付けていないと言った状態になっています。この場合アルミの方が膨張率が大きいので、この程度の締め代でエンジンをかけたら熱せられ緩んだスリーブが動き出すのでは無いかと心配になったりするかも知れません。しかし、シリンダースリーブを抜き取る為にブロック側から熱して膨張させた場合と、エンジンに火が入って燃焼室を含むスリーブの内側から熱が伝播していく場合の膨張状況は異なりますので、これ位のクリアランスでは、まだ運転中にガタガタスリーブが遊ぶ事はありません。ただし密着が弱くなる為に、スリーブからブロックへの熱伝導効率の低下は始まっているでしょう。
ただ、オーバーサイズのスリーブを入れる為の加工前に、データ取りの為に測定しましたところ、新品の加工時には真円の筒だった筈のスリーブ穴が 長年の使用で歪み、例えばX軸方向では3/100程穴の方がスリーブより小さく締め付けられている状態であっても、Y軸方向では1/100クリアランスで、強く締め付けていないと言った状態になっています。この場合アルミの方が膨張率が大きいので、この程度の締め代でエンジンをかけたら熱せられ緩んだスリーブが動き出すのでは無いかと心配になったりするかも知れません。しかし、シリンダースリーブを抜き取る為にブロック側から熱して膨張させた場合と、エンジンに火が入って燃焼室を含むスリーブの内側から熱が伝播していく場合の膨張状況は異なりますので、これ位のクリアランスでは、まだ運転中にガタガタスリーブが遊ぶ事はありません。ただし密着が弱くなる為に、スリーブからブロックへの熱伝導効率の低下は始まっているでしょう。
また、内壁の状態を見てみると真円が狂っているのみでは無く、縦方向にも寸法が変わっているところがあります。アップにすると横方向に黒い縞になっているところがわかりますが、これはより当たりが強かったところです。
ちなみにこの横縞のピッチは、ブロック側のフィンのピッチになってます。
スリーブ外側にフィンが存在したり、ブロックの肉の厚くなっている部分の当たりが強くなっています。この為、この穴は円方向だけでなく縦方向にも波打つ様になっています。これらの寸法変化分は、今回0.5mmオーバーサイズの入れる為に一度真円状態にボーリングし直します。
スリーブ外側にフィンが存在したり、ブロックの肉の厚くなっている部分の当たりが強くなっています。この為、この穴は円方向だけでなく縦方向にも波打つ様になっています。これらの寸法変化分は、今回0.5mmオーバーサイズの入れる為に一度真円状態にボーリングし直します。
この際のクリアランスですが、緩みを気にするあまりスリーブに対して極端にアンダーサイズにするとブロック座面が並行でなくなったりしますし、熱膨張と収縮を繰り返せば、やはり緩みは避けられません。新品時のクリアランスから極端に外れた設定はしていません。シリンダーヘッドへのバルブガイド挿入時もそうなのですが、ベース側のアルミ素材が少なからず痛んでいる場合、クリアランスを詰め過ぎると母材側が裂けてクラックが入ってしまったりする事があります。特に初期のZ1系ブロックは肉厚も薄く、それゆえ歪みが生じ易いので注意が必要です。
余談
シリンダーブロックはスリーブを抜いてみるとこんな感じに巣がある場合がたまにあります。小さなものはさほど問題はありませんが、大型スリーブを入れる為の拡大時には注意が必要です。
シリンダーブロックはスリーブを抜いてみるとこんな感じに巣がある場合がたまにあります。小さなものはさほど問題はありませんが、大型スリーブを入れる為の拡大時には注意が必要です。