装着いただきましてから順調に距離を伸ばして1万km以上を走行いただきましたPAMSオートカムチェーンテンショナー。
車両の整備入庫のついでに点検とメンテナンスをさせていただきます。
見た目には特に消耗した様子は無さそうです。
ロッド軸部には僅かにリテーナーが当たった痕跡が薄く残っています。
ちなみに、Z1000Mk2の純正テンショナーに出来るリテーナーの当たり跡との比較。
走行距離の違いはありますが、基本的にテンショナーのロッドは距離を重ねるにつれて突き出していきます。従って、当たり部分に出来る窪みの深さは距離に関係無く比較出来ますが、弊社製のものが非常に浅いのがわかりますでしょうか?
窪みが浅いのは、テンショナーロッドの表面硬度をMk2のものより微妙に上げている為もありますが、主な理由はMk2のリテーナーがボール6個でシャフトに当たるのに対して、弊社製は8個のタイプとして、面積あたりの荷重を下げている為もあります。
もちろんシャフトの表面硬度を更に上げて全く摩耗しないものを作ることも出来ますが、それをやるとリテーナーボールが食い込まずにシャフト表面を滑って、テンショナーとしての役に立たなくなりますので硬くはあっても計算した上で仕上がり硬度を決めています。
ボディ側のレース当たり面。
シャフトの軸径よりレースの当たり面の方が構造的に接触面積が大きくなる為、レース側の消耗はほぼありません。ボールの当たり部分が光っている程度で、窪みにはなっていません。
テンショナーロッド先端の当たりゴムダンパーです。
ここにゴムダンパーを装備して、シリンダーブロックやヘッドの熱膨張分を吸収させて、アイドラーローラーやカムチェーンの負担を減らす様にしているのが弊社製の特徴です。
この部分のゴムは、熱と連続する圧力で序々に変形してきます。こちら側が変形する事で、交換にコストと手間のかかるエンジン内部の部品を痛め無い様にしています。
ちなみにこのゴム部分ですが、上記の構造上の理由でロッド本体の寿命が長い為、ロッドアッシで交換しなくても済む様に、設計時からゴムのみで交換が可能な様にしています。
MK2の純正が熱熔着でロッドに貼り付けて成型してあるのに対して、弊社製の方は、窪みに圧入する様にしています。メンテナンス時の脱落防止の為に新品時には接着してありますが、本来は圧入するのみでもエンジンに組み込んでも脱落はしません。
但し、交換時には窪み側を清掃して、瞬間接着剤等で貼り付けしてしまう事を推奨しています。
メンテナンス時にこの先端ゴムの変形が大きくて交換を希望される場合は、予備部品として先端ゴム部分のみ購入も可能です。