自分が担当では久々のMK2コンプリート製作となるベース車両です。古くから常連のお客様のご紹介にて製作をお引き受け致しましたが、オーナー様の構想は随分と以前から温められていた様で、仕様についての打ち合わせでしっかりとイメージを描写する事が出来ました。
北米からの新規輸入となりますが、外装が現地にてリペイントされている以外はご覧の通りノーマルマフラーまでついたフルオリジナル状態です。
仲の良いショップにも声を掛け、出てきたベース候補より更に数台に絞り、現車を見た時点で自分の独断によりこの車両を押さえました。長年の勘でグズグズ悩んでいたら売れてしまうと感じたからです。
正直、ベース車両としては決して安くはなのですが、ここから少し安くなる次の候補とのコンディション差が価格差以上に激しくこちらも悩みました。仮にもっと安いベースで!と言われても、この車両ならしっかりと手を入れて認定USED車両として在庫しても構わないという思いもありました。オーナーに「この車両で!」と決断して頂いた時には「良かった~!」と内心ほっとしました。
メーターまわり。メーターもインジケーターそしてトップブリッジやハンドルクランプ等も仕上げは施されていませんが綺麗な状態です。
コンプリートベースと言うと、どうせバラして全部仕上げるわけだからボロくても安い方が良いと言う意見があって当然。でもそれは、ある意味正解である意味不正解とも言えます。必要以上に綺麗である必要はありませんが、フレームやエンジンその他純正で交換の利かない部位に関しては、やはり元が良いに越したことはありませんし、状況によっては仕上がりや乗り味にも影響したり、または反対に修復の為のコストにより結果的な予算が逆転してしまう事も珍しくありません。その辺りは価格とコンディションとのバランスで見極めが肝心だと思います。
所々剥がれたエンジンペイントですが、上からやっつけ缶スプレー攻撃がされているよりも好感度は高いです。当然フィン欠け修復等の痕跡もなく、ガスケット等を見る限りエンジンはバラされた事なく今日に至っている様です。これも好感度大。
過去に大きな転倒歴見極めポイントの一つでもあるネックしたガセットとストッパー周辺の状態。ガセットプレートもフラット、そしてストッパーの角度も健全で過去に大きく修復された様な形跡はありません。
オーナーの思い描いた形を具現化するのが私達の仕事だとしたならば、その想いが強く熱い程に気合が入ります。御代を頂く限り仕事ではあるのですが、オーナーに対しては勿論、作り手の私達も後悔の無い様、売るが為ではなく乗るが為のコンプリート車両製作であり続けたいと思います。
打ち合わせ後日、オーナーよりメールを頂戴しました。
そこには「MK2の事で頭が一杯で仕事が手に付きません!」という最初のクレームを頂きました。が、対応不可能です。笑