チューニングエンジン製作時に実際の圧縮比を正確に設定したい場合、燃焼室やピストンヘッド部の容積測定を行うのは割とよくある事です。シリンダーヘッド側のバルブ沈み状態や個体差によっては、必ずしもカタログ通りの数値にならない場合が多々ある為です。
ただ、市販のピストンのヘッド形状やピンハイト設定によっては上死点時のピストン端部位置が必ずしもシリンダーブロックの上面位置と同一でなかったりするものがある為、シリンダーブロックとピストンのみでは正しいピストン位置で測定が難しくなるものがあったりします。
クランクケースの上面や、シリンダーのスリーブ交換時のブロック上下面研磨が行われていたりすると尚更で、研磨量から逆算して組み立て時のピストン高さを推察する事は勿論出来るにしても、一番手っ取り早くて正確なのは実際のエンジンに仮組み着けして実際の上死点を基準にして測定してしまう事です。ブロック部分を仮固定したところ、このピストンの場合は上死点位置でピストンが最大に上がった位置で、ピストン端部が僅かにブロック平面より少し下がっているのがわかります。
ピストンは完全に円柱形状でなく頭側が小さい樽型なので、上死点時には僅かに斜めになりますから、ピストン高さはなるべく中心に近いところを基準に測ります。
クランクを回転させ、ダイヤルゲージでぴったり1cm下げたところでピストンを固定します。何で1cmかと言えばCC単位で測定するのに計算し易いので。
ビューレットで測定油を注入出来た量を記録。
シリンダーブロックボア径×1cmの円柱容積から注入した測定油量を差し引けばピストンヘッドのボリューム容積と言う事になります。
シリンダーブロックボア径×1cmの円柱容積から注入した測定油量を差し引けばピストンヘッドのボリューム容積と言う事になります。