現状態でご購入され、キャブセッティングのご依頼で入庫となったR2。
アシまわりを始めとして全体にカスタムが施されキレイに仕上がっています。
現状で入手したという事もあり、点検も兼ねてキャブセッティングの前にタペットクリアランスのチェック、必要であれば調整という流れになりました。
ところが、カムカバーを開けカムホルダーボルトのトルクチェックを行うと、数か所に渡りトルクの掛からないという事が発覚。ヘッドを下し全16カ所にヘリサートによる修復を行う事に。
経験上 J 系となってからは尚更このトラブルが多い様に思え、二か所以上に問題が出ている場合は、今現在トルクが掛かっていても将来的に問題が発生するケースが多く、トラブルを事前に防ぐ意味でも出来れば全箇所にヘリサート加工をお勧めしています。ハイリフトカム仕様の場合は必須と言っても良いかと思います。
ピストンヘッドや燃焼室にオイル下がりの形跡があった為、ステムシール交換をする事になりましたが、ステムシールの損傷が酷くオイル下がりの理由も説明がつきます。ただ、通常の使用で純正ステムシールがこの様な状態になるのは珍しく、ヘッド側を更に点検。因みにカムはヨシムラST-2という仕様です。
原因が判明しました。バルブガイドの締め代が緩くなっており、燃焼室側から押すとズズッっとリフター側へ動いてしまいます。その反対はクリップがストッパーとなっているのでそれ以上燃焼室側へ沈むことはありません。
カムシャフトがハイリフトとなっている事が重なって、フルリフト時にはリテーナー裏がシールを押していたのではないかと推察。
これよりガイドを抜いて下穴の状態確認、状況によっては適切な締め代確保の為、下穴の加工とそれに合わせたガイドの製作&圧入となります。合わせてシートカットというメニューになります。
鍛造の社外ピストンが使用されており、クリアランスも若干広めではあるものの問題は無いと判断。リングのみ交換+スカートにコーティングを施す事となりました。
ライトなメニューの腰上OH。これだけでも安心して乗れるR2へと変身です。