何度かに渡りご紹介した事のある「カムライン・ボーリング」加工。
原因は別としても結果的にカムラインを狂わせる程に歪んでしまったヘッドや、何故か何処かで他のエンジンにつくはずだったカムホルダーが迷い込んだ事によって発生したカムラインの狂いなど。
その度合が軽い物ならラッピング等で誤魔化しも効くかもしれませんが、酷い物ではメタルやカムジャーナルが焼けてしまったり、酷いフリクションでアイドリングすら安定しなかったりという事例も過去には見てまいりました。
またカムラインボーリングは知っていても、それを実現する事がなかなか出来ずにいたのですが、去年からテストケースも含めて数をこなし、確実なカムラインの復元が可能になってきました。
この画像にある「ラインボーリング」はご覧の様に上から下へと縦ボーリングで、一般的にイメージする横からのボーリングよりも刃物の自重による先端付近での寸法狂いの可能性が著しく低くなる特徴とメリットがある反面、縦横そして立角のセットUPに手間暇が掛かります。
「カムホルダーを締め付けて、ズドーンと端から端まで掘るだけでしょう?」とその昔には私もそう思ったものですが、精度を求めて加工を施すには作業の前にそのセットアップや計測に大変手間暇がかかる事が解りました。なんせ一発で決めなければなりませんから、間違って斜めに掘ってしまっては・・・洒落になりません。
まだまだ加工コスト的に詰めてゆかなければならない部分も正直あるのですが、今まで修復を諦めたり、または誤魔化したりといった物が完全に復活するというのは私達にとっても有難く嬉しい1歩です。