Z系はもちろんの事、それ以外の車両に対してのフルコンEFI化の為将来を考慮して、別タイプのピックアップローターによるクランク角度信号センシングのテスト風景です。
何だかえらく歯が多いという印象を受けますが、この形式は専門では24-2(マイナス2)と呼ばれるタイプで、一周360度に対して24個の歯を配置して、そこから2個分をフラットにしたという形になります。
そんなに歯数は必要なのかとも思われますが、実はエンジンのクランクシャフトの回転速度は同じ回転数でも常に一定ではなく、圧縮行程での上死点近くでは当然遅くなりますし膨張行程ではスピードが上がります。
これが、始動時やアイドリング中等の低回転時には顕著になる為、例えばですがバッテリーやセルモーターの消耗した車両をクランキングした際には相対的に点火時期が早くなり、始動性が悪化したりする原因になったりもします。
EFIはもちろん、デジタル制御化したイグニッションにもそうですが、正確な燃料噴射のタイミングや点火時期の制御を回転数問わず行うのであれば歯数の増加は有効で、現行のカワサキ車他、ヤマハのバイク等の多くがこの形式の純正ローターを使っています。
ただ、元々その多くが4輪用に作られた汎用フルコンの中には、バイク用の様に小型のローターに多くの歯を持ったものをピックアップするには仕様上相性のよろしく無いものや設定の難しいものもあったりしますが、当方で設定したもので測定波形やエンジン動作を見る限りでは上手くいきました。
点火時期が小刻みに振れている様に見えるのは、アクセル開度ゼロの目標アイドリング回転数付近でのみ作用する補正マップが動作している為です。
例えば、GPZ900R系をインジェクション化するとなったら、同じ方法でDAEG純正の24-2ローターが使えるといった感じになります。
さすがにZ系エンジンでそのまま着くものはありませんから、写真や動画の様に製作するか、流用加工するしかありませんが、使いこなせばEFIのみならず、点火系でもより正確な制御進化が出来ると思います。