フルレストア、フルOH、フルリビルト、どれも聞き慣れた言葉だと思いますが、実はそれぞれにハッキリした定義は存在していないのが現状です。
例えばクランクシャフトを一例にします。
クランクシャフト(組立式ベアリングタイプ)に関わる作業で最もポピュラーなものが「芯出し」または「クランクセンター出し」等と呼ばれるもので、これは読んで字のごとく少々曲がったクランクを荒っぽく言えば、叩いたり押したりして本来の状態に戻す作業です。
そして本題の分解リビルト。これは圧入部分を全て押し出して分解し、消耗部品の交換等を行う作業です。以前PAMSでは分解後に可能なメニューとして基本的にベアリングの交換とコンロッドスラストの調整、そして芯出しというメニューでした。
しかし、分解OHを必要とする程消耗したクランクの場合、単にベアリングの交換だけでは追いつかず、当然相手となるジャーナルやベアリングレー スの消耗&腐食、コンロッド大端部の編摩耗等などの修復をどうするのか?という問題を完全にクリアすることが出来ず、「リビルトしなければ使用できないク ランクはリビルト不可、リビルト可能なクランクはその必要は無い」という少々矛盾したスタンスでいたのも事実で、その場合は良品のUSEDを探して使用す るという流れが殆どでした。
画像は、今回フルリビルトの為に完全分解となったMK2のクランクシャフトです。ベアリング交換は勿論ですが、消耗箇所にもキッチリと手が入り、研磨が必 要な箇所にはその取り代に合わせサイズ違いのベアリングを用意。それで対応できない程のダメージには特殊な「溶射肉盛研磨」で対処します。
コンロッドの大端部も、
そして小端部は専用ブッシュ製作にて対応可能です。(画像は表面処理のみ)
全体に光り輝いているのは、分解と同時に各ピース全てにアキュレート処理と呼ばれる特殊な研磨を施しているからです。特徴としてほぼ寸法変化を起こす事なく、均一に票面粗度の調整を行える事です。
また、クランクシャフトにこの処理を施した場合、摺動部分のフリクション低減だけではなく、ウェイト部分に纏わりつくオイルのキレが向上し、オイルミストによるブローバイガスへのオイル混入も低下するそうです。
まだ試験段階ですが、結果オーライとなればメニュー化したいと思っています。