お客様に割とご説明する事が多かったり、または少々混同されてしまっている場合があるので簡単にお話させてください。
よく聞く「圧縮比」と「圧縮圧力」。同義語とも言えなくはない微妙な関係ではありますが、なんだかややこしいですよね。
例えば圧縮比11:1というピストンを組んだのに、圧縮圧力を計測してみるとそこまで上がらない。またはそれ以上の数値になってしまう事も。
「圧縮比」はあくまでもボア×ストロークとピストンのクラウン容積(盛り上がった部分のボリュームです)そして燃焼室の容積それらの数値から計算した物で、「圧縮圧力」は実際に組まれたエンジンのプラグホールにゲージを繋ぎ、スターターモーターでエンジンを回してその圧力を数値化した物。
ですから圧縮圧力は同じピストン同士で比較した場合でも、各面の面研の有無やシリンダーブロックハイトを含む寸法的条件が同一として、シートカット等による燃焼室容積の違いや、さらには使用するカムのオーバーラップ値等(細かい話で言えばバルブクリアランスも)で大きくその数値は異なってくるわけなんです。
例えばですが、同じエンジンにノーマルカムを組んだ場合と、それよりも作用角の大きなカムを組んだ場合では、ピストンは同じでもノーマルカム仕様の方がオーバーラップが少ない分、圧縮圧力は高い値を示す事となります。
圧縮比と圧縮圧力は似て非なる物というお話でした。