チェーン強度は時代と共に向上し、Zシリーズを含む重量級リッターバイクに使用しても強度をメーカーが保証できるレベルの520チェーンも一部ではありますが市販されています。
もちろん破断等の心配は無いという意味ではあり、スプロケットが薄くなる分接触面積あたりの荷重が増えますので、Zクラスでは摩耗もそれなりに早くなり、チェーンその物の伸びも525チェーンに比較すれば頻繁に点検の必要があります。
この為弊社ではストリート仕様であれば通常525サイズを推奨していますが、それでも軽さとフリクションの少なさを優先するのであれば選択肢に入ってきます。
ところで、Z系に関しては520サイズのドライブスプロケットが設定されてはいますが、J系にはありません。
J系のドライブスプロケットは、軸部分のスプライン規格は520スプロケットが市販されているGPZ900Rやゼファー1100以降の現行大型車と同じですが、内側に向かって4.6mmのオフセット部分があります。
そこで、エンジンオーバーホール時に、スプロケット内側の焼結カラーを予め4.6mm長い物を製作して、これを組み込みする事で、内側オフセットの無いGPZ900R,ゼファー1100用のものが使用出来る様になります。
余談ですがこの焼結カラーは含油性が非常に高く、熱するとオイルがボタボタ出て来る様な性質の鋳鉄素材です。
左がJ系用の内側オフセット4.6mmスプロケットと、J系純正カラー。
右がGPZやゼファー1100系用の内側オフセット無しのスプロケットと製作したカラー。
これでトータルオフセット量は同じとなりました。
但し、この方法はJ系でも初期のボルト留め方式の場合はアウトプットシャフトとスプロケットスプラインとの接触幅が大幅に減ってしまう為に摩耗が進んだり緩み易かったりしますので危険です。Z1000J3やZ1000R(2型)、Z1100R以降のナット留め方式のものに限ります。
弊社のインジェクションテスト車であるZ1000JもJ2のボルト留め方式の車両だった為、オーバーホールの際にナット留めタイプのアウトプットシャフトに変更して520チェーン化しています。