エンジン整備で入庫していただいたZ1を試乗すると、ハンドリングに明らかな違和感がありました。
真っ直ぐ走っているのに、いつもハンドルを修正せねばならない。ゆっくりとカーブを曲がっていると、本来微妙に舵角がついて曲がっていく筈がハンドルが真っ直ぐになろうとして外側にはらんでしまうので、無理矢理ハンドルを切って曲がらねばならない等、ステムベアリングが傷んでいる際の典型的な症状です。
こういった場所は、ある日突然痛むわけでは無く、日々乗っていると次第に悪化してくるものですので、毎日乗っているオーナーには相当に悪くなっても意外と解り難かったりします。
ジャッキアップして解りやすい様にフェンダーやフロントホイールを外して軽くした状態でステアさせてみます。
センター付近で、吸い込まれる様にカクンとフロント廻りが固定されるのがわかると思います。
そして分解して取り外したベアリングレースがこれ。
レースのベアリング軌道線状に窪みが出来ているのがわかるでしょうか?
本来ベアリングは回転させて使うものなのですが、オートバイのステムに組み込まれて使う場合、ほぼ同じ位置で荷重を受け続けることになりますので、数万km程走行すると必ずこの様になります。
このかすかな窪みにベアリングが落ち込む様になって、ハンドリングを強烈に悪化させます。
距離の伸びたZに限らず、オートバイはステムベアリングが消耗すると、乗っていて不安定になり疲れる程ハンドリングが悪くなりますので、メンテナンスを心がけて下さい。