FUELインジェクターは、フューエルポンプで圧力をかけられたガソリンを噴射する為のEFIシステム要の部品です。
原理としては通電によって動作する機械式のソレノイド弁構造で、エンジン出力に応じて様々な噴射容量のものが設定されており、当然出力馬力の大きなエンジンには大容量のものが使われています。
さてこの容量ですが、EFIシステムセットアップの基本としては必要以上に大きなものは使わないのがセオリーです。
インジェクターの容量が大き過ぎる場合、低回転低負荷時等の回転あたりガソリン必要量が少ない際には開弁時間を極端に短くせねばならなくなり、上記の様に機械式の弁構造である以上どうしても噴射量が大雑把になってしまいます。
例えばですが、勢いよく出る水が噴出するホースからコップの中にぴったり半分だけ入れようとすると非常に難しいと思います、それと同じだと思って下さい。
さて、弊社のEFI実証車であるZ1000Jに使用してるのは上の写真の通りカワサキ純正オレンジのインジェクター。
これは、容量的には市販車では140~150PS迄対応出来るサイズです。
ただ、この車両は現状は純正オーバーサイズピストンで、カムもバルタイもストリート重視でセットアップしている事を考えると、EFI化による効率アップで100馬力プラスのノーマルより馬力が出ていたとしても若干容量が大き目です。(もちろん使える範囲内ではありますが)
そこで少し噴射量を抑えたものに変えれば更に低負荷時の噴射精度を上げられるので、そういったものをと考えましたが、流用用の純正インジェクターのスペックは公開されてませんし、サービスマニュアルにも燃圧毎の比較データも記載がありませんので目ぼしいものを片っ端から実測してみるしかありません。
大体これ位だと思ってもこれが結構大外しなものも多く、同じ規格でも結構な数のものを測定してみましたが、
手間の甲斐あって、丁度良いのではないかと思えるサイズのものがありました。
Z1系を含め、ストリート用に上限実馬力110~120PSレベル迄であればこれ位の容量が良いかなとも思います。
ちなみにこれはまあ合わないだろうなと思いつつ、参考に測ってみたNinja H2-Rのインジェクター。
たまたま手元にあったので、戯れにと言うかついでに測ってみましたがレベル違いの噴出量で、上のオレンジのものの約2.6倍以上もの640cc/min(3.0 bar時) 。 しかも一気筒あたりこれが2本使われているらしいので合計8本、全力噴射すると毎分5,000cc以上もの燃料噴射能力があるという事になります。H2-Rは確か燃圧が固定されていて、自然吸気と異なりスーパーチャージャーで加圧されたマニホールドに対して噴射すると相対的に噴射圧力は下がりますので実際には
そんなガソリン量が供給される事はありませんが、流石過給器付きで300PSを軽く超えるフラッグシップはインジェクターサイズも超弩級ですね。