画像は1100Rのシリンダーヘッドです。燃焼室ボリュームを計測する為、付着したカーボンをケミカルを使用し除去している所です。
少々時間は掛かりますが、カリカリと鋭利な物で突かなくとも大半のカーボンは溶け落ちてくれます。
キレイにカーボンが落ちてくれました。この燃焼室形状は多球形とも呼ばれ2バルブとしては当時最もパワーを出しやすいと言われた形状です。独特なスキッシュバンドから構成されるデザインで、それまでの空冷Zに共通する半球形とは見た目にも大きく異なります。
1100R(Gpz1100含む)はカワサキが当時最後の空冷2Vモデルとしてリリースした、言わばメーカーが施したチューニングエンジンとも言えるかもしれません。
しかし故に専用設計とそれに合わせた専用部品のオンパレードとなり、生産から数十年が経過した今日現在では、スペアパーツの入手が非常に困難となっています。ヘッドもカムもバルブも、そしてピストンもクランクも全て専用設計です。外観上はJ系と似ていますが中身は別物です。従ってJ系は勿論、Z系からの部品流用の幅が非常に限られてしまいます。
Z系に比べると修理等で入庫する数も圧倒的に少ないので何とも言えませんが、ここ数年の履歴を見てみると、Z系ではあまり例の無いトラブルに見舞われてしまっている事例も少なくありませんでした。
ただ、少ないはずの1100Rなのですが現在いつもの呼び寄せ現象なのか、エンジンOHを主とした修理のご依頼が重なっています。ヘッドやクランクといった大物だけでもメーカーが再販してくれると有難いですよね。ショップレベルでは中々そう簡単に製作できるものではないですから。