Z1000J系ミッションのコンバートの為に必要な製作部品。
アウトプットシャフト用の加工ベアリングと
レーザー溶接加工を施した専用アウトプットシャフト
第一世代Z系のトランスミッションは、摩耗や消耗で品質的に限界を迎えているものが多くて、必要に迫られての交換が必要なものもあります。対策 として各社からアフターマーケット品のトランスミッションも発売され、中にはパフォーマンスアップの為の6速ミッションすらもあります。
そんな中で、かなり以前より当社も手掛けて来ましたJシリーズトランスミッションへのコンバート。
当初はともかく、社外のミッションが入手出来るようになった現在ではお役目御免となるかと思っていたのですが、意外な程今でも組み込み依頼の需要がある為、継続しています。
アウトプットシャフトベアリングは、純正品をベースに内径25mmを28mmに国内の特殊ベアリング加工専門のメーカーに依頼
ボールベアリングを分解せず、内輪のみの内径を1/1000mm台の精度で加工する技術は、こういった加工を見知った人達には奇跡の様に見えるらしいです。
Z系のアウトプットシャフトベアリングと同じ規格のものを生産しているメーカーは複数あるのですが、内径を片肉1.5mm拡大しても我々が望む厚さが確保できるのは純正品のみで入手可能なNSK製のもののみな為、コストはかかるのですがそれをベースにしています。
拡大するとわかりますが、内輪,外輪共に同程度のレース厚さが確保されています。
NSK製以外の物だと、ベアリングボールの大きさの関係で、拡大すると内輪の厚さが少々薄くなってしまいます。即時問題が出るレベルではありませんが、公道での数万kmからレース迄の使用を考えて、より強度不安の無いものを選んでいます。
カワサキ車独特のニュートラルファインダー(車両停止中にローギアからアップするとニュートラルで止まり、2速に入らない機構)を確実に機能させる為にアウトプットシャフトにレーザー溶接加工を施します。
ZのケースにJ系ミッションを組み合わせてみるとわかりますが、アウトプットシャフトのギアのドッグ噛み合わせを適正化すると、ファインダーが 正確に働かずにニュートラルから行き過ぎた場所で止まる様になってしまいます。逆にファインダー位置を優先すると、3速ギアの噛みあわせが浅くなって将来 のギア抜けの可能性等、耐久性の不安になります。
それを両立する為にシャフトにレーザー溶接で加工を施しています。
レーザーは局部的な溶接で、周囲を歪めたり強度を変化させること無く加工が可能です。問題はほんの極小単位ずつでしか加工が出来ない為、加工の大きさに対してコスト高な事ですが、加工方法としてはこれしか無いとして採用しています。
J系ミッションのコンバートですが、Z系のクランクケースも長年の使用でミッション組み込み部分に寸法変化が生じていたり、個体差に対しての調整が必要な場合がある為に長年これらの部品の単品供給はお断りしてきました。
但し、ご相談の上でノウハウを説明して正しく組み付けが可能であろうと判断出来るメカニックの方に限っては部品や調整用パーツの供給、組み込みノウハウのお世話をさせていただけるようにして行こうと考えています。