プライベーター様から内燃機加工その他でお預かりしていたシリンダーヘッド&ブロック。一通りのメニューをこなし、出荷前の最終点検です。
内燃機加工メニューは定番とも言えるガイド交換&シートカットそしてセット長合わせに摺合せ。最小値面研も施しました。
0.07mmの研磨量です。
ガイドには焼結合金製のSAバルブガイドを使用。バルブにはHFバルブstd plusを。外観ではステムから傘裏に繋がる部位にウエスト化されている事が特徴です。
純正と異なり、ステムだけではなく前面に切削加工が入る為、傘裏も表も鍛造肌は残りません。
ESTスリーブに交換後、純正OSピストン仕様でボーリング&ホーニング。
上面デッキのみ最少値面研。トルクプレート付精密ボーリングにスプラッシュホーニングで仕上げ。
実は、STDな内燃機加工の他にこのヘッドは少々問題を抱えておりました。カムホルダー違いによるカムラインの狂い。それが原因となりカムジャーナルとの異常なフリクションです。ラインボーリングか精密ラッピングか判断に悩む状態でしたが、一か八かラッピングでクリアしました。
そして最も厄介だったのは画像下↓
プラグホールがほぼ崩壊している状態でした。元の画像が見当たらないのですが、既に完全なバカ穴状態になっていて、辛うじて雌ネジ2~3山がカメるかという状態。ヘリサートは勿論利きませんし、エンザートも考えましたが、それ自体の外径がシートリングに掛かる事と、プラグホールという部位に求められる条件を考慮し他の方法をチョイス。そして画像上はアルミ削り出しにて製作したカラーを圧入した所です。
燃焼室側から見た所です。ギリでシートリングをかわしました。
圧入したカラーをプラグ座面と燃焼室側の両方から溶接。
手仕上げにて燃焼室側の溶接痕を整形。(後にシートカット)
プラグ座面もキッチリ角度を出して切削。
最後に本来のプラグホールを切り直し再生。燃焼室側もほぼノンダメージで仕上がりました。
お約束していた納期をオーバーしてしまいましたが、思ったように修復が完了しほっとしています。お待たせして申し訳ございませんでした。
週明けには発送となります。