内燃機加工と聞いて頭に思い描く加工は何でしょうか?
代表的な物を並べると「シリンダーボーリング」や「バルブシートカット」「バルブガイド入れ替え」そして「面研」あたりでしょうか。エンジンOHをする上で、どれも外す事の出来ない物ばかりですが、今日は先日行ったシリンダーヘッド面研時の画像をご紹介します。
まな板の上の鯉ならぬ、ベッドの上でセットされたシリンダーヘッド。ヘッドの面研には傷や凹凸または歪等を取り去る為の「最小値面研」とそれによる燃焼室容積現象を狙い圧縮比UPを目的とした「容積指定面研」の大きく二つに分ける事が出来ますが、今回お見せするのは「最小値面研」です。
何だかSF映画に出てくる宇宙船の様にも見えますが、これが面研に使用されるフルバックと呼ばれる専用TOOLです。ご覧の様に複数の小さなチップ(刃)が外周部にあって、これが回転しながらヘッドを横方向へと研磨してゆくわけです。
こんな風に。ヘッドの大きさに対してかなり大きな物だと分かります。
このヘッド、マニュアル上にある様な計測では全く正常な値をします面状態だったのですが、長年の使用によるガスケット腐食痕がかなり発生しており、大事をとって最小値面研を行う事にしました。どれだけ削ったら最小値?という疑問も生まれるとおもうのですが、あくまでも「目的を達するまで」を最小値という事になります。ですから、歪であればそれが取り除けるまで。今回のガスケット腐食ならば、それが実用上問題無いと思われるレベルの最小値という事です。
まずは一発目、0.01mm 研磨したところです。ご覧の様に刃が当たっている場所とそうでない場所があるのが分かります。ですから、厳密に言えばこの時点でヘッド面がフラットではないという事です。
同じく、センターカムチェーントンネル付近。やはり刃が片当たりしているのがわかります。
更に状態を見ながら0.01~0.02前後で研磨を重ねてゆきます。かなり面が出始めていますが、まだ腐食痕がハッキリと残っています。
あと一息といった所です。一気にドカンと削るのではなく、この様に少しずつ研磨を重ね最小値を狙います。
近寄って見てみると、まだ僅かにガスケットによる腐食痕が残っていますが、既に実用上問題の出ない状態と判断し、ここで作業完了となります。
結果は0.07mmの「最小値面研」となりました。因みにこの数値が具体的にイメージとしてどの程度のものなのかと言うと、例えば一般的なコピー用紙が0.07~0.09mmと言われています。ですから薄皮一枚剥くようなイメージで差支えないと思います。
今日はヘッド面研のご紹介でした。