Zのカムシャフトは、他の多くのバイクエンジンのシリンダーヘッドと異なり、ジャーナル部分はカムメタルで保持されています。
運転中のカムジャーナル部分にはエンジンオイルで油膜が出来る事でフローティングする事で金属同士の接触はしない構造になっています。但し、始動時やオイル供給が不足したりした場合にはどうしてもカムとメタル部分がダイレクトに接触して摩耗します。
その摩耗によってカムシャフトのジャーナル部分と、カムメタルで保持されている部分のクリアランスが大きくなると、エンジン運転中にカムシャフトが3次元的に踊る為、バルブクリアランスやバルブタイミングも正確さに欠けてしまったり、ノイズの発生元になったりもします。
又、長年使用したシリンダーヘッドは、カムラインの熱歪みにより新品のカムメタルを使用してもカムジャーナル部分のクリアランスが狂ってしまっているものも多くなっていますので、エンジンの分解時や組み立て前にクリアランスのチェックが必要になります。
クリアランスの測定にはプラスチゲージと呼ばれる樹脂のチューブを使い、その潰れ幅で測定します。
標準クリアランスは0.020~0.070mmで、使用限界値は0.16mm。
更にヘッド側のカムラインに歪みが生じていたりすると、潰れ幅が均等にならなかったりします。このヘッドはカムもスムーズに回り、クリアランスも0.025mm近くとほぼ均等ですので、安心して組み付け出来ます。