赤矢印の先にあるクラック。丁度シートリングからプラグホールに向けて走っていますが、実は空冷Zのエンジンでは決して珍しい現象ではございません。
修復方法としては「溶接」そして「整形」となるのですが、一般的なアルゴン溶接を行うとどうしても熱によるシートリング周辺へのダメージも懸念されます。リングの打ち替えを前提としていればまだ良いのですが、リング交換無しにアルゴン盛りは少々気が引けるのも事実です。
またクラックがどこまで深く伸びているのか?も重要な見極めポイントで、本当に手前で浅く留まっているのなら実用上問題は出ないと判断する場合もあります。
ただ、このクラックがプラグホールの入り口近くまで伸びてしまっていたり、またはシートリングの内側(ポート内)に貫通していたりすると燃焼圧等がクラックを通し燃焼室外へリークしてしまったりする可能性も出てきますから要修復となります。
今回の修復はレーザーを用いた特殊溶接となります。今までコスト的な問題から中々オススメできなかったのですが、割と現実的なコストに抑えることが出来そうな見通しが立ってまいりました。
この特殊溶接の一番のメリットは、とにかく熱による歪等を気にする必要が無い事です。その性質から面積の広い溶接には適しておりませんが、今回の様な修復にはもってこいの修復方法だと思います。